2017 Fiscal Year Annual Research Report
Significance of the implementation process of norms
Project/Area Number |
15K03148
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吾郷 眞一 立命館大学, 法学部, 教授 (50114202)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 規約人権委員会 / 多国籍企業ガイドライン / 労働CSR / 監視機能 / ILO条約勧告適用専門家委員会 / 国際行政法 |
Outline of Annual Research Achievements |
政府間国際組織や条約機構によって担われている国際法の義務履行確保活動が、非政府組織や私人によっても担われ始めていることに着目し、規範の法的重要性が実体法ではなく手続法によって高まることを実証することを目標として開始された本研究は、国際労働基準が多角化し、多国籍企業三者宣言のような伝統的なILO条約でもILO勧告でもないものに対しても一定の履行確保が求められる仕組みができあがったこと、ラギー原則として知られる国連企業と人権指導原則にもフォローアップ装置が整い、一定の履行確保の機能が具備しつつあること、OECD多国籍企業ガイドラインについても同様なことが言えることをなどを確認し得たことなどが研究成果の一部である。 そのほか、条約機構が行う条約規定内容の実施の監視活動が、国際行政であること、そのような仕組みを構築する政府間国際組織の決定(経済社会理事会の決議やILO総会、理事会OECD決議など)も国際行政法として認識することができることがわかった。 さらに、それらの行政行為の延長として、基となる文書が法的拘束力がないいわゆる決議、勧告や宣言である場合、国際行政作用の結果として基の文書に法的重要性が加わることが認定される。たとえばOECDガイドラインや国連グローバルコンパクトなどが、その名宛て人である企業の行動要綱に引用され、実施に移されていることを考えると、国際行政行為の結果として、はじめは法的拘束力がない文書であったものに、一定の行為規範性を持たせるに至ったことが確認できる。昨年秋にロンドンで行われた国際法協会のビジネスと人権検討部会での意見交換から、同趣旨の意見を諸外国の研究者と共有することができ、かつ、ビジネスと人権指導原則にとって労働基準が大きな要になることを知った。
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Research Products
(2 results)