2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03167
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東本 愛香 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任助教 (00595366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 禎人 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (40332374)
後藤 弘子 千葉大学, 大学院専門法務研究科, 教授 (70234995)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | こころの健康 / 受刑者 / 初犯と累犯 / 再犯予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Good Lives Modelを重視した再犯防止プログラムの実状を調査し、受刑者のこころの健康状態と年齢、罪名、刑期、懲罰回数などの属性との関連を明らかにし、初犯受刑者と累犯受刑者の比較による犯罪性の進行とこころの健康度について分析検討を行うことを目的としている。さらに、プログラム提供による効果および効果の維持について再犯予防の視点から考察していくことが目的である。 現在までに北米の処遇に関する実状調査を行うとともに、北米の研究者よりプログラムについて情報収集し、再犯予防の試み、再犯の恐れが高まった場合の対応、社会へのアウトプットの方策について議論した。 受刑者の「こころの健康度」の調査として、本年度は累犯受刑者収容施設においてWHO-SUBI(The Subjective Well-Being Inventory)を実施した。受刑者の罪名・刑期・学歴・懲罰のデータを収集し、分析可能なデータとして整理した。そして、挑戦的萌芽研究(平成25年度~26年度)から実施している「こころの健康度」の改善に関する調査研究として、認知行動療法ベースのプログラムの提供によるこころの健康度の変化について「被害者の視点を取り入れた教育」「コミュニケーション・トレーニング・グループ」参加者に対して調査を行った。われわれの提供するプログラム参加により、精神的健康度の変化がみとめられる結果が得られた。また、「暴力防止プログラム」参加者については、Kiss-18(対人関係の社会的スキル尺度)を使用し、対人関係スキルの向上についても検討を行い、その効果を確認するにいたった。これらの結果を、International Association of Forensic Mental Health Serviceにおいて発表し、さらに日本犯罪社会学会においては、代表者らがシンポジウムを企画し、本研究の結果を協力施設の担当職員とともに報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
累犯受刑者収容施設である宮城刑務所において「こころの健康度」の調査を実施し、当該施設の受刑者の罪名・刑期・学歴・景気経過年数・懲罰有無データ収集も終了しており、基礎的な解析は終了している。同時に、初犯受刑者と累犯受刑者の比較検討に向けて、すでにデータ収集している千葉刑務所(初犯受刑者収容施設)のデータとあわせて(N=1307)データ・クリーニングを終え、分析方法の検討を行っている。 また、こころの健康度に着目したプログラム導入における変化については、初犯受刑者収容施設を対象にわれわれが作成したプログラム提供の前後の変化についてするデータ収集を行い、すでに本年度の収集データ結果については報告、発表を行った。施設をあげた取り組むとして本研究を確立していくことを目指し、一部の報告については、本研究の協力機関である刑事施設職員との知識共有のもと施設職員が学会において発表するにいたっている。 諸外国の調査及び研究打ち合わせとしてイギリスにおける施設内処遇に関する調査、およびメンタルヘルスに着目した研究およびプログラムに関する情報収集、実務家、政策形成者への研究成果の発信方法に関する検討を行う予定であったが、本年度は研究者との調整により、平成28年度予定である北米を今年度の対象とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策として、まず、初犯受刑者と累犯受刑者のデータ(N=1307)を分析し、長期自受刑者の全体的な傾向の把握としてまとめ、国内外で発表する。その後、初犯受刑者と累犯受刑者の比較として、どの項目を分析の対象とするかについて検討する。また、提案するプログラムの確定を目指し、効果測定の結果をもとに、冊子等にする、あわせて、確定したプログラムの効果について、さらに受刑者を対象とした実践、および効果検証をについて国内外に発信し、初犯受刑者収容施設と累犯受刑者収容施設における変化の違いについても分析検討を試みる、また、問題行動軽減との関連も合わせて考察をすすめ、再犯防止に向けての検討を加えていけるよう進めていく。 尚、受け入れ研究機関の都合により、本年度を北米調査としたため次年度にイギリスにおける実情の調査を計画する。
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Causes of Carryover |
本年度は、当該研究における資料整理について、代表者および共同研究者のみで行ったため、人件費の支出がなかった。また英文校閲についても学会発表での使用がなく支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、データ入力作業が増えるため28年度の使用を計画があり、論文執筆予定のため英文校閲費の使用が必要となる。
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Research Products
(7 results)