2018 Fiscal Year Annual Research Report
Policies Underlying Double Jeopardy-Reconstructing Japanese Double Jeopardy-(2)
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15K03170
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 淳 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80318716)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二重の危険 / 一事不再理効 / 拘束力 / 公訴事実の同一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2018年度においては、引き続き、ドイツにおける重複処罰禁止に関する資料の収集・精読に加え、米国及び日本における二重の危険に関する資料の収集・精読に従事した。また、本研究テーマに関係する論稿を執筆・公表した【「一事不再理効」法学教室460・38-41(2019)】。同稿は、日本の「刑事訴訟法の基本」の「再確認」というテーマに即して、当該「基本」の1つである「一事不再理効」につき解説したものである。「基本」とされつつも学習者には敬遠されがちな一事不再理効の基礎的な問題点や(代表的?)判例につき、教科書等では説明が省かれることも多い視点・内容を含めつつ解説した点に特徴・重要性が認められる。 2015年度~2017年度においては、上記同様の資料収集・精読活動に従事したほか、本研究テーマにも関連する論稿【「一罪一逮捕一勾留の原則に関する一考察」研修829・3-18(2017)、「形式裁判の内容的確定力」刑事訴訟法判例百選〔第10版〕(別冊ジュリスト232)・224-225(2017)】を執筆し、公表した。前者は、実体法上一罪の範囲内にある複数の事実のそれぞれにつき、同時にあるいは時を異にして逮捕または勾留することの適否を、後者は、被告人が自らの死亡を偽装して公訴棄却の決定を受けた後、その生存が判明した場合には、同人につき、あらためて同じ事件で公訴を提起できるか(後訴裁判所は前訴裁判所の「被告人死亡」という判断に拘束されるか)をそれぞれ論じたものである。いずれも、従来の議論を整理しつつ、新たな視点も取り込んで検討したものである点に特徴、重要性が認められよう。 なお、2015~2018年度中に実施したドイツの重複処罰禁止、米国・日本の二重の危険にかかる資料の収集及び精読の成果のうち、現時点で活字になっていないものについては、今後論稿として順次公表していく予定である。
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