2017 Fiscal Year Research-status Report
「暴行・脅迫による」重大犯罪―手段規定の横断的研究
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15K03175
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80359869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 強盗 / 恐喝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、強盗と恐喝につき、比較法と沿革の研究を組み合わせた上で、その手段の相違に関する研究報告をオーガナイズして、日本刑法学会において、ワークショップとして成果の発表を行った。刑法の財産犯において、暴行脅迫を手段とする強盗罪と恐喝罪の規定を設けることは、現在では比較的普遍的な立法態度ですあるが、その両者の区別や周辺規定をどのように整備・解釈するかという課題に取り組んだものである。 より具体的には、①強盗と恐喝をどのように規定し区別するか、②強盗の周辺規定(ⅰ事後強盗のような時間的拡張、ⅱ財物以外の無形の利益侵害への対応(2項犯罪)、ⅲ付随する致死傷結果への対応について、立法・解釈の経緯について研究代表者が、英米法圏について星周一郎氏(首都大学東京)が、ドイツ法圏につき深町晋也氏(立教大学)が報告を行った。我が国の恐喝規定が比較法的に早期に整備され、それが解釈論に及ぼした影響が、他の法圏に比して大きいこと、強盗の周辺規定の捕捉範囲も他の法圏に比して広いこと、他方で謀殺規定の我が国での欠如を部分的に補う機能も有していること等を明らかにした。諸国では、強盗と恐喝を一般的に比較するのではなく、恐喝の手段が比較的具体的に記述され、それに当たらない暴行脅迫による財産取得は、比較的広く強盗で捕捉されているという実態も明らかになった。 当該成果の概要は、「ワークショップ3 強盗罪の諸問題」として刑法雑誌に掲載される予定である(脱稿済み・未公刊)。また、同一のメンバーで、神戸大学においても研究ワークショップ「強盗と恐喝の比較法・沿革の研究」を開催し、平成30年度中に研究成果を本学紀要に掲載する予定である。くわえて、強盗罪に関する注釈書の執筆を行っており、そのための研究会を年度内に複数回、出版社において実施ししており、平成30年度に脱稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた学会での成果報告を行い、その成果を論文として公表する目途もたっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、上記成果の詳細を本学紀要に掲載することを予定している。性犯罪、強盗、恐喝についてさらなる研究成果の公表に努め、それ以外にについても手段規定に関する研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
年度の切替期に公刊される図書をまとめて購入するため。
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Research Products
(3 results)