2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03182
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
十河 太朗 同志社大学, 司法研究科, 教授 (80304640)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 共謀の射程 / 共同正犯の錯誤 / 結果的加重犯の共同正犯 / 共謀関係の解消 / 共犯の因果性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、共犯論上の諸問題のうち、(1)共同正犯と錯誤、(2)結果的加重犯と共同正犯、(3)共謀関係の解消について、わが国、ドイツ及びイギリスの議論状況を参照しつつ、共謀の射程という観点から統一的に解決を図り、妥当な帰結を示すことを目的とするものである。 平成29年度には、平成28年度までに行った検討を踏まえて、わが国における結果的加重犯と共同正犯について論文を発表した。わが国の判例は結果的加重犯の共同正犯を広く認めているが、これに批判的な学説も有力であることから、こうした判例や学説の状況について考察を加えた上で、結果的加重犯の共同正犯の成否が問題となる場面にはいくつかの異なる類型があることに着目し、類型ごとに妥当な結論を検討した。 また、イギリスにおける共同正犯と錯誤及び結果的加重犯と共同正犯について、資料の収集と分析を行った。イギリスでは、これらの問題はjoint enterpriseという概念を軸に解決が図られており、joint enterpriseの概念をめぐって判例、立法、学説において興味深い議論が展開されていることから、これらの議論状況について検討を加えるとともに、わが国の解決方法との比較を通じて示唆を得ることを試みた。この問題の関して、近年、従来の解決方法と異なる立場を示した重要な裁判例が出たことから、その分析にも力を注いだ、こうした検討をもとに、論文の執筆に着手した。 更に、ドイツにおける共同正犯と錯誤、結果的加重犯と共同正犯、共謀関係の解消についても、学説を中心に資料の収集と分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年度および平成28年度には、所属する司法研究科の研究科長を務め、学内行政のために極めて多忙だったことに加え、司法研究科に在籍する学生の司法試験に向けた答案添削等の指導に追われた。また、平成29年度には、司法試験予備試験の考査委員や、大学基準協会法科大学院認証評価委員を務め、多忙であったことなどから、十分な研究時間が確保できなかった。 研究面では、特にイギリスにおいて、新しい裁判例や立法の動きなど、想定していた以上に複雑な議論状況にあったことから、その検討に多くの時間を費やし、研究に遅れが生じた。 ただし、現在、本研究について、2本の論文を並行して執筆中であり、近日中に完成させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
イギリスにおける共同正犯と錯誤、イギリスにおける結果的加重犯と共同正犯について、現在、論文を執筆中であり、近日中にこれを完成させる予定である。なお、この2つのテーマをそれぞれ独立して検討することも考えられるが、共同正犯の錯誤の問題と結果的加重犯の共同正犯の問題とは、理論的に密接に関連し合っていることから、イギリスの議論状況を検討する際には、両者の問題を併せて論じることにより、論文の完成を早める努力をする。 また、共同正犯と錯誤、結果的加重犯と共同正犯、共謀関係の解消をめぐるドイツの議論について考察を加える論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)前記の事情により研究時間が十分に確保できず、研究に遅れが生じたため。 (使用計画)平成30年度の研究では、イギリスとドイツの議論状況の検討を更に発展させるため、イギリスおよびドイツの基本書、コンメンタール、研究書等の図書を購入する。また、必要に応じて、プリンターや文具等の物品の購入や、資料の収集・整理等のアルバイトの人件費に使用する。
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Research Products
(1 results)