2017 Fiscal Year Annual Research Report
International Comparison of Dispute Resolutions Based upon Negotiation Theory
Project/Area Number |
15K03195
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 秀之 一橋大学, 名誉教授 (30107495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 明久 環太平洋大学, 経営学部, 教授 (10552474)
比護 正史 白鴎大学, 法学部, 教授 (30726659)
斎藤 輝夫 明治大学, 法務研究科, 特任教授 (60726256)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 民事訴訟法 / 紛争処理法制 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)研究計画の概要 本研究は、ビジネス紛争解決制度の国際比較を行い、紛争の回避・解決のために必要となる「基礎的知見」(新たな紛争解決法理)を提供すことを目指し実施した。その際、交渉理論の立場から、円滑で相互に満足度の高い紛争解決を実現するためには、紛争に関連する「証拠の開示共有」と「当事者がよって立つ価値観の理解」が重要であるという観点を設定した。 (2)年度別の研究実績 平成27年度には、日本、および東南アジア諸国(タイ、ベトナム、カンボジアなど)における紛争解決法制と証拠開示手続きに関する比較研究を行ったほか、世界44ヶ国におけるビジネス文化(価値観)の類型化を実施した。平成28年度には、中国、インド、タイ、ベトナムなどアジア地域の計8ヶ国を採りあげ、紛争の発生状況、および雇用紛争解決制度の特徴について、日本と比較しつつ分析解明を行った。最終年度には、中小企業経営者のニーズに応えるべく、海外展開先として注目されている中国、インド、韓国、および東南アジア諸国5ヶ国に焦点をあて、各国の雇用法制、特に正規雇用の解雇法制に分野を絞り、日本と比較した法規制の強弱、特徴、実務上の留意点等を比較整理した。(3)本研究から得られた結論は、次の諸点である。 ①雇用紛争の人口当り年間発生件数を見ると、日本およびアジア8ヶ国は、欧米諸国に比し総じて雇用紛争が少ない地域となっている。②その背景として、東南アジア諸国においては、「証拠収集開示手続き」が充実整備されていること、日本を含むアジア9ヶ国がほぼ共通して有するビジネス文化の特性(高コンテキスト、権威志向、安定志向)の2つが指摘できる。③さらに、アジア8ヶ国における雇用紛争解決制度は、社内制度構築の義務化、集団紛争解決に関する司法の関与、行政・司法における迅速でかつ柔軟な解決を重視した制度設計の点で日本に比し充実した内容となっている。
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Research Products
(5 results)