2017 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of family-member-obligations and estate administration
Project/Area Number |
15K03200
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮本 誠子 金沢大学, 法学系, 准教授 (00540155)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 民法 / 相続 / フランス法 / 遺産共有 / 財産管理 / 遺産分割 / 夫婦財産制 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、まず、預貯金債権の相続に関する大法廷決定を受けて、昨年度におこなった預貯金債権の相続と遺産共有に関する研究を深めた。同大法廷決定が広領域にわたる理論上及び実務上の課題を投げかけているため、相続法理論上の課題を中心に検討した(「金銭債権の共同相続」水野紀子=大村敦志編『民法判例百選Ⅲ 親族・相続 第2版』(有斐閣、2018年)132~133頁、「普通預金債権・定期預金債権は遺産分割の対象となるか」『平成29年度重要判例解説』(2018年)85~87頁)。 また、本研究で当初から予定していた、家族間における権利義務関係を相続の場面に反映させる可能性及びその方法についても、①一部の者による居所の使用の問題と、②死後の事務の問題の検討を進めた。①については、法制審議会における相続法改正の議論内容を踏まえて、生存配偶者の居所の問題に絞り、フランスにおける、居住保護の必要性とその背景・経緯、「居住権」の体系的位置づけ、他の相続人の権限との調整如何を分析し、わが国における議論との比較をおこなった(フランス法の状況については、日本家族〈社会と法〉学会第34回学術大会、2017年11月4日、シンポジウム「家族・社会の変容と相続制度」のうちの「比較法的考察 -フランス法―」で、口頭発表をおこなった)。 ②については、昨年度に、死後の事務に関する民法873条の2が新設されたため、同条で認められた(元)後見人の権限は、後見法および相続法に(立法者がどこまで意識しているかはともかく)どう位置付け得るのか、あるいは、後見法・相続法内に体系的に位置づけることは極めて困難であるのかを、(他の)相続人の権限との関係に留意しながら検討した。研究内容は、現在とりまとめの最終段階に入っており、近日中に公表予定である。
|