2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀野 出 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90304568)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 当事者適格 / 訴訟担当 / 法人格のない社団 |
Outline of Annual Research Achievements |
法人格のない社団のうち、法人格のないマンション管理組合、民法上の組合、入会団体が当事者となる訴訟を主として取り上げ、そこでの社団の地位(当事者適格)を検討するのが本研究の目的である。 研究初年度の平成27年度においては、このうち、法人格のないマンション(区分所有建物)管理組合が区分所有建物の共用部分について訴訟当事者となる場合を、判例事案を素材として検討した。そこでは、区分所有建物の共用部分につきマンション管理組合が当事者となるときは、管理組合が請求認容判決を得るためには、訴訟担当者たる地位につくものと扱うより他はなく、法人格のない社団をめぐってこれまでなされてきた、民訴法29条の適用効果につき固有適格構成か訴訟担当構成かといった議論は妥当しないことを明らかにした。 民訴法理論体系的には、民訴法29条を適用し法人格のない社団に当事者能力を認めた場合であっても、そのことが本案の問題に直結しない例があること、それゆえ、構成員に総有される権利義務関係を念頭に置いてきた従来の議論は、民訴法29条が適用される一部の例にしか妥当しえないことを明らかにしたものである。 また、マンション管理組合の検討に関連して、民法上の組合の訴訟上の地位についても、マンション管理組合との対比を通じて検討を加え、民訴法29条をめぐる従来の議論がそのまま妥当する面もあるものの、半面で、純然たる訴訟担当として扱うべき場合がありうることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象とする、法人格のない社団のうち、その一部について、社団の当事者適格の理論的検討を行えた。 本研究の成果の一部について、松本博之先生古稀祝賀論文集・民事手続法制の展開と手続原則(2016、弘文堂)に、「法人格のない社団をめぐる権利義務関係と当事者適格の規律」と題する論文を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後について、平成28年度は、ひきつづき、民法上の組合やマンション管理組合の当事者適格の検討を行うとともに、入会団体や、町内会、同窓会といった、それら社団の権利義務関係が構成員全員に総有的に帰属するとされる場合について、法人格のない社団の当事者適格の主として理論的検討を進める予定である。判例事案を素材として検討を行い、その成果については論文として公表をする予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定どおり使用しているが、未使用額が若干生じたのは、年度末に購入を希望した図書の金額が研究費の残額を超えるものであったため、購入を控えたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(図書費)として使用する予定である。
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