2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03225
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩原 紳作 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (20107486)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コーポレートガバナンス / 金融機関グループ / 金融機関 / 取締役会 / モニタリングモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究においては、金融機関グループのガバナンスに係る、アメリカ、EU、ドイツ、等の世界各国における立法やバーゼル銀行監督委員会、OECD、G20の宣言、FSB(Financial Stability Board)等の国際機関によるルール策定に関する情報を収集し、その分析を行った。その結果、世界的に金融機関グループのガバナンスにつき、グループ全体としてのガバナンス体制の強化を求める動きが一般化していることが明らかになった。例えば、グループ支配会社の取締役会の構造につき、いわゆるモニタリングモデルに基づいて、経営者から独立した独立取締役が、内部統制部門と協力して、グループ全体のリスク管理やコンプライアンスの執行を行える体制を整えるべきであるとされている。また、世界的には金融機関グループの役員の報酬規制が大きく進んでいること等が明らかになった。 このような国際的な検討を踏まえて、わが国における平成28年銀行法改正や、東京証券取引所が2015年に定めたコーポレートガバナンス・コード、そして次の会社法改正に向けての会社法研究会における検討が、果たして適切な方向を目指しているのか、またそれらが十分な内容になっているのか、等を検討した。その結果、方向としては適切であるが、内容的には極めて不十分であることが明らかにされた。 また、経営学、金融論の専門家や金融の実務家、金融監督当局とも、この問題に関してヒアリングや意見交換を行った。更に国際的な金融機関グループのガバナンスの問題についての意見交換や検討を行った。 以上のような研究の成果の一部は、研究代表者が2016年9月に刊行した著書『商事法論集Ⅰ 会社法論集』(商事法務、2016年)473頁~500頁や論文「コーポレートガバナンス」月刊資本市場375号46頁~58頁等に生かされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカ、ドイツ、EU等の海外法制や、バーゼル銀行監督委員会、OECD、G20宣言、FSB等の国際機関におけるルール策定について順調に情報収集を行い、その検討も行うことができた。それを踏まえて、世界的なこの問題に対する潮流というべきものを明らかにし、そこからわが国おける銀行法改正や会社法改正に向けての立法の在り方に対する評価をある程度行うことができた。 経営学、金融論の専門家、金融実務家や金融監督当局とのヒアリングや意見交換もほぼ順調に進めることができた。 そしてこれらの成果の一部を著書や論文や講演等を通じて公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度及び28年度における検討を踏まえて、最新の資料を補充しながら研究成果の取り纏めを行う。上記、研究の概要に記したように、わが国おける今後の金融機関グループのガバナンスについての法制整備のあるべき方向性がかなり明らかになっていることから、それを纏めて、論文、著書等において公表したい。
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Causes of Carryover |
海外に発注した本が、刊行が遅れたために、年度内に到着せず、年度内に請求することができなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に刊行されて到着しているので、平成29年度分の助成金からの支出をお願いする予定である。
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Research Products
(2 results)