2015 Fiscal Year Research-status Report
我が国地理的表示法の基礎的問題に関する研究‐社会的評価、類否などについて
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15K03236
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
荒木 雅也 茨城大学, 人文学部, 准教授 (90451666)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地理的表示 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、2014年(平成26年)6月18日制定の「特定農林水産物の名称の保護に関する法律」(以下、地理的表示法)に関して研究を進め、計五つの論考を公表することができた(その他、以下に示すように、地理的表示に関する講演も行った)。 それらの論考のうち、二つは地理的表示法の意義を概括的に考察するものであり、他の二つは、EUの状況を概観しつつ、我が国において地理的表示法が果たし得る役割について分析するものである。結論として、地理的表示法は、地方の活性化と、我が国の農林水産物・飲食料品の輸出拡大に一定の役割を果たし得るという見通しを示している。 もう一つは、地理的表示法における登録手続と、登録手続に関連するいくつかの論点(登録において対象となる産物の品種を特定することの問題点や、特許・営業秘密との関わりなど)について検討し、地理的表示登録に際して障害となり得る問題について分析している。 なお、当初予定では、2015年度は、地理的表示制度における登録要件の一つである「社会的評価」につき、EUの地理的表示法における解釈の状況を確認したうえで、商標法上の「周知性」などと比較することで、その意義を明らかにすること(および、我が国の地理的表示法が、「社会的評価」に関するEUの解釈を継受するか否かを明らかにすること)を目標としていたが、この論点についての研究は、成果を公表するまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2015年度は、地理的表示法が制定されて間もなかったため、同法に関する原稿や講演の依頼が相次いだため、当初予定通りに研究を進めることができなかった。 なお、2015年度に、地理的表示法に関して実施した講演は以下の通りである。 ①「地理的表示(GI)制度について」研究産業・産業技術振興協会(2015年11月10日)。 ②「地理的表示や地域団体商標で地域ブランドをつくる」茨城県庁(2016年1月25日)。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では研究計画の変更は考えていない。(1)地理的表示登録の要件の一つである「社会的評価」の意義、(2)地理的表示登録における品種の特定と、特許権等との関わり、(3)地理的表示法における権利侵害の判断基準、という当初予定した三つの論点につき、2016年度および2017年度に研究を進めることにする。なお、これらのうち、(2)については、2015年度に公表した論稿「地理的表示の登録手続と地域における合意形成 法律学の観点から」の中で、一定の研究成果を示すことができたと考えている。
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Causes of Carryover |
翌年度文と合算したいと考えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画は、当初予定から変化はない。
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