2017 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Study of Japanese Geographical Indications - reputation similarity
Project/Area Number |
15K03236
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
荒木 雅也 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90451666)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地理的表示 / 社会的評価 / 品質中立主義 / 追加的保護 / 普通名称 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、地理的表示制度の重要な論点のうち、特に、「社会的評価」概念の意義の分析に重点を置いた(主に、TRIPS協定[知的所有権の貿易関連の側面に関する協定]とEU[欧州連合]の法令を研究対象とした)。 研究の結果、①TRIPS協定の地理的表示に関する規定(22条など)の解釈につき、産物の「社会的評価」が、産物の「品質」と並び、地理的表示保護(登録)の独立の要件である(品質中立主義)という見方が、国際社会において、支配的な見方になっていること、②EUにおいてもそうした解釈が定着しており、EUの地理的表示制度においては、高い「社会的評価」に基づき、登録が認められた例がいくつか見られること、③EUの例では、地理的表示が「社会的評価」に基づき登録される場合、現時点の「社会的評価」のみならず、過去における「社会的評価」と、産物の歴史が重視されることが多いこと、などを明らかにすることができた。 また、主にEUにおける立法過程の分析の結果、地理的表示制度において「社会的評価」が重視され、また、地理的表示がいわゆる追加的保護(誤認混同のおそれがない場合であっても保護される)に代表される強力な保護を付与される(商標よりも強い保護が与えられる)理由の一つは、制度設計において地理的表示の普通名称化を回避すべきことが念頭に置かれていることにある、という見方に到達した。
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