2016 Fiscal Year Research-status Report
法整備支援の評価に対する人権アプローチの有効性に関する実証的研究
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15K03240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
砂原 美佳 名古屋大学, 法学研究科, 特任講師 (30467261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 法整備支援 / 人権アプローチ / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スウェーデンにおいて政府開発援助の評価手法として採用されている「人権アプローチに基づく評価」に着目し、対ベトナム法学教育強化支援および立法能力強化支援を事例にその特徴を明らかにし、それを通じて、法整備支援に適合的な評価手法とは何かという問題を検討することにある。 本年度は、「人権アプローチに基づく法整備支援」とそれに対する評価の実際を、スウェーデンおよび日本の評価手法との比較を通じて明らかにすることを目指した。具体的には、JICAによる法学教育・法曹養成支援及び起草支援(JICAによる対ベトナム重要政策中枢支援「法整備支援フェーズ1~3」)に対する結果重視評価によって導きだされた成果と、昨年度の調査結果(HRB評価における成果)とを比較対照的に検討した。研究会などを通じ、①評価対象と内容(法整備支援の受益者は誰か、誰の何の変化を成果と見なしたか、判断材料・根拠は何か)、②評価主体(評価者は誰か、求められる専門性は何か)、③評価情報の整理・伝達方法(評価目的は何か、報告書の言語は何か)を中心に比較検討した。この作業を通じ、2つの手法が捉える法整備支援の成果において、HRB評価の特長(結果重視評価では見落される視点の解明)及びHRB評価を用いることによる負の作用(結果重視評価でなければ分析できない視点)を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度予定していたスウェーデンおよびベトナムにおける本格的な調査を予定通りに実施することができなかった。最大の理由は、スウェーデンによる対ベトナム法整備支援評価報告書の発行が2017年度にずれ込んだことによる。しかしながら、国内で入手可能な文献調査および比較対象としての日本による対ベトナム法整備支援評価については関係者との研究会を定期的に開催するなどして情報収集・成果の発信を当初計画以上に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の調査が予定通り進まなかったことを受け、本年度は夏季に集中的な海外調査および冬季に研究発表を実施する予定である。 課題としては、スウェーデンにおける法整備支援の評価をめぐる議論の趨勢が、ここ数年でEUおよびSDG(持続可能な開発のための2030年アジェンダ)が掲げる目標達成のための指標策定へとシフトしていることである。スウェーデンの研究者とともに、調査対象の精査を進めているところである。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査2つが予定通り実施できなかったため。
スウェーデンによる対ベトナム法整備支援終了時評価を基にした調査を予定していたが、予定通りの公表が見送られた。本評価調査に関わったスウェーデン側・ベトナム側双方の担当者およびルンド大学の研究者と相談の上、調査計画を見直した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年夏季に、昨年予定していた調査計画を実行に移すべく関係者と共に調整を進めている。
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Research Products
(1 results)