2015 Fiscal Year Research-status Report
災害対応型コミュニティ・リーガル・サービスの国際比較研究
Project/Area Number |
15K03250
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
飯 考行 専修大学, 法学部, 准教授 (40367016)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 災害法 / コミュニティ / リーガル・サービス / 地域連携 / 弁護士 / 司法書士 / 司法アクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害を視野に入れたコミュニティ・リーガル・サービス(地域社会のニーズに対応する法サービス)を、日本、アメリカ、オーストラリアで比較検討し、そのあるべき姿を構想することを目的とする。 2015年度は、1年目にあたり、日本のコミュニティ・リーガル・サービスの制度と実情に関する文献ならびに訪問調査を行った。 訪問調査は、2011年の東日本大震災後、ひまわり基金法律事務所(弁護士会の支援する司法過疎対応型事務所)の弁護士が行政やNPO と連携して災害応急仮設住宅での巡回相談に取り組む、岩手県の陸前高田市で実施した(9月)。加えて、東日本大震災の復興過程で法サービスの果たす役割を調査するため、岩手県九戸郡野田村と、宮城県石巻市および女川町において、自治体、法サービス機関、仮設住宅等での訪問調査を複数回行った。 学会報告は、アメリカのLaw and Society Association 年次大会(シアトル開催)において、本研究テーマに関する準備状況を報告し、現地の参加者に意見を求めた(5月)。また、日本災害復興学会大会において、本研究のテーマに関する分科会「災害対応型コミュニティ・リーガル・サービスの諸相」を企画した(9月)。同分科会では、災害対応型コミュニティ・リーガル・サービスの構想と研究の途中経過を報告したほか、上記の陸前高田市、豪雨と土砂災害に見舞われた広島市、自治会ホームローヤー制度と称する独特の地域の法サービスで知られる静岡市を含む各地の弁護士、司法書士に、災害に対応した地域連携等の実情を報告いただいた。 以上の研究実績は、災害と法に関する書籍と論文の執筆に活かされた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、文献調査と日本での訪問調査を実施することができ、学会報告と論考公表に反映された。 他方、アメリカでの訪問調査は、スケジュールの調整がつかず敢行がかなわなかったため、2016年度に延期予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、調査対象地を、日本のほか、アメリカ、オーストラリアにも広げる予定である。 2016年度は、2年目にあたり、日本に加えて、アメリカについても、コミュニティ・リーガル・サービスの制度と実情に関する文献、訪問調査を行う。 学会報告は、日本法社会学会学術大会(立命館大学、5月)、Law and Society Association(LSA)年次大会(アメリカ・ニューオーリンズ、6月)、International Sociological Association(ISA)社会学フォーラム(オーストリア・ウィーン、7月)を予定している。本研究テーマに関する途中経過を報告し、参加者に意見を求めるほか、ニューオーリンズでは現地専門家にハリケーン・カトリナ後の復興状況につき訪問調査を実施する予定である。また、日本において、災害に対応する法サービスの実情を調査するため、東北と熊本を含む被災地の法サービス機関等の訪問を行う。 2017年度は、研究の最終年度にあたり、日本、アメリカに加えて、オーストラリアのコミュニティ・リーガル・サービスの制度と実情に関する文献、訪問調査にあたる。日本国内における被災地の法サービス機関等の実情調査も継続する。 以上の調査研究を通じて、日本、アメリカ、オーストラリアの災害対応型コミュニティ・リーガル・サービスの比較検討を行う。研究の知見は、メキシコで開催されるLSA とISAのResearch Committee on Sociology of Law(RCSL、国際法社会学会)の合同大会(6月)を含む学会報告と、論文で公表するほか、報告書にまとめて刊行予定である。また、上記のLSAニューオーリンズ年次大会と、LSAとISA-RCSLメキシコ合同大会では、International Research Collaborative(国際共同研究)として、Disaster and Law in the Pacific Rim Region(環太平洋地域の災害と法)の発足が認可されたため、関連セッションにおいて、当該地域の災害法研究者と連携して研究を推進する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初、2015年度に予定していたアメリカ訪問調査につき、スケジュール調整がつかず、敢行することがかなわなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度にアメリカ調査を敢行することにより、使用することを計画している。
|
Research Products
(6 results)