2015 Fiscal Year Research-status Report
変貌するリーガル・マーケットとドイツ弁護士職業法-我が国弁護士職業法の未来図-
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15K03251
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
森 勇 中央大学, 法務研究科, 教授 (30166350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 弁護士の守秘義務 / 弁護士都市伝説 / 利益相反 / 弁護士の独立性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年10月に行ったシンポジウムを検証し、その成果を「リーガルマーケットとの展開と弁護士の職業像」として出版した。そして、2015年6月にはハンブルクで開催された「ドイツ弁護士大会(Anwaltstag)」に招かれ、ドイツ連邦弁護士会とドイツ弁護士協会会長、日独法律家協会会長と面談するなどし、今後の日独弁護士法の共同研究を打ち合わせるなどした。またこの機会に、研究を支援してくれているケルン大学弁護士法研究所を訪問し、その3名のディレクターと今後の研究の打ち合わせを行った。 これを踏まえ、研究協力者の支援のもと、2016年および2017年に予定している次の弁護士法に関する研究集会の準備を行った。また、2015年10月には、ドイツ弁護士法の権威の一人Offermann-Burckart博士を招き、日弁連との共催のもと、「ドイツにおける弁護士の守秘義務」に関する講演会を開催し、研究協力者とともに弁護士のコア・バリューの一つである守秘義務についてのドイツの規律と英米との関係でみたその問題点についての知見を深めた。その内容は、拙訳として「比較法雑誌」49巻4号(2016年3月)に刊行されている。 このほか、研究協力者の協力を得て、ケルン大学弁護士法研究所のディレクターが実態調査に基づき、弁護士に関してドイツにおいて(そしてほぼ同様のことが日本でも)語られいてるいわゆる「都市伝説」につき、、平たくいえばいかにそれが事実と異なっているのかを検証した論攷二つの翻訳し、いずれも比較法雑誌49巻3号および4号に発表した。 以上
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って進捗している。なお、予算の執行については、他機関ないしは被招聘者自身の好意により、旅費・謝礼の支出がなく、予定を大幅に下回った。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度においては、次年度に開催予定の日独研究者・実務家を集めた総括となる研究集会の準備を推し進めるべく、一方では、研究者が6月の弁護士大会および9月のドイツ法曹大会に出席し、ドイツサイドのカウンターパートと意見交換および情報交換に努め、他方では協力者の支援のもと、ドイツで講評された所論文の翻訳を研究協力者とともに推し進め、彼我の問題認識の対称と非対称を浮き彫りにする研究活動を協力者とともに推し進めることを目指す。 他方、ドイツの権威者の参加をあおいで、日弁連の共催の下昨年度行った「守秘義務」に関する研究集会の成果をより深掘りすべく、ドイツ弁護士法およびEU弁護士法の権威の参加を得て、「弁護士の秘匿特権」について研究を進めるべく、研究集会を開くなどして、できれば英米弁護士法との対比をする形での比較法的考察を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
他機関の協力ないしは被招聘者本人の好意により、経費が大幅に予定を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の招聘計画のボリュームを拡大し、また、研究協力者への謝礼等の支払いに充てるとともに、予定している2017年におけるシンポジウムの経費に充てる。
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