2017 Fiscal Year Research-status Report
最高裁判例の形成過程と裁判所機構――オーラル・ヒストリーの手法を通して
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15K03254
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
山田 隆司 創価大学, 法学部, 准教授 (70631159)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 最高裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画にもとづき、最高裁判所の元裁判官・福田博氏に対するオーラル・ヒストリーを実施し、その成果の一部を著書『「一票の格差」違憲判断の真意――福田博オーラルヒストリー』として公刊した。同書は、元外交官としての世界観を有しつつ、議員定数不均衡訴訟において個別意見を相次いで表明した元最高裁判所裁判官の違憲判断の真意に迫るものであり、最高裁判所における憲法判例の形成過程の一端を明らかにすることができた。また、最高裁判例の形成に重要な役割を果たすと考えられる最高裁判所調査官の実態について文献などを調査した結果、論稿「最高裁調査官制度の内容」として月刊法律専門雑誌『法学セミナー』(日本評論社刊)2017年5月号に発表した。この論稿は、研究代表者による過去の元裁判官(東京高等裁判所元部総括判事、最高裁判所元調査官の木谷明氏)に対するオーラル・ヒストリーをもとにして、最高裁判所調査官の実態について一定程度明らかにすることができた。 その後、最高裁判所の憲法判例の形成過程について研究をさらに進め、最高裁判例の形成に重要な役割を果たすと考えられる最高裁判所調査官の意義について文献などを調査し、「最高裁調査官制度の再検討――批判と反論、改革案を考える」という論稿にまとめ、所属大学の紀要『創価法学』において発表することができた(2017年11月)。さらに、名誉毀損に関する最高裁の諸判例を検討した「名誉毀損の成否と『表現の自由』――最高裁判所の判断に変化の可能性」という論稿にまとめ、所属大学の紀要『創価法学』において発表することができた(2018年3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にもとづき、最高裁判所の元裁判官・福田博氏に対するオーラル・ヒストリーを実施し、その成果の一部を著書として公刊するとともに、本件オーラル・ヒストリーをもとにして、最高裁判所の憲法判例の形成過程について研究を進め、最高裁判例の形成に重要な役割を果たすと考えられる最高裁判所調査官の実態について文献などを調査し、それに関する論稿を法学専門の月刊雑誌に発表することができたうえ、最高裁判所調査官の意義について文献などを調査し、論稿にまとめ、発表することができ、さらに、期間延長の結果、名誉毀損に関する最高裁の諸判例を検討した論稿を執筆し、所属大学の紀要『創価法学』において発表し、見解を深めることができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、最高裁判所の憲法判例の形成過程について研究をさらに進め、文献などを調査し、見解を深めるとともに、このテーマと関連する次の論稿につなげていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画にもとづき、オーラル・ヒストリーを実施し、その成果の一部を著書として公刊するとともに、本件オーラル・ヒストリーをもとにして、最高裁判所の憲法判例の形成過程について研究を進め、最高裁判例の形成に重要な役割を果たすと考えられる最高裁判所調査官の実態について文献などを調査し、それに関する論稿を法学専門の月刊雑誌に発表することができたうえ、最高裁判所調査官の意義について文献などを調査し、論稿にまとめ、発表することができたが、さらに、期間を延長し、今後、最高裁判所の憲法判例の形成過程について研究をさらに進め、文献などを調査し、見解を深めることなどを目指すため次年度使用額が生じたものである。
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