2016 Fiscal Year Research-status Report
医療訴訟における専門的知見活用策の比較法的研究―書面鑑定と交互尋問を超えて
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15K03256
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平野 哲郎 立命館大学, 法学部, 教授 (00351338)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 専門訴訟 / 医療訴訟 / カンファレンス尋問 / 専門家証人 / 鑑定 |
Outline of Annual Research Achievements |
6月に東京地方裁判所医療集中部に医療過誤訴訟について実施された3人の鑑定人が法廷で議論をするカンファレンス鑑定を傍聴し,その問題点を指摘する報告書を作成・提出した。 3月にはオーストラリア・シドニーの州第一審裁判所で企業の会計監査事件で,会計の専門家2名が法廷で同時に裁判官の質問に答えたり,議論をしたりするコンカレント・エヴィデンスの手続を傍聴した。また,シドニーの土地環境裁判所で長官及び実際に環境訴訟を担当している裁判官からコンカレント・エヴィデンスの体験及び意見を聞くなどした。それによれば専門家に対する交互尋問は,各専門家が別なゴルフ場でゴルフをしているようなものであるが,コンカレント・エヴィデンスはテニスのようなものであるというくらい,臨機応変に,専門的な知見が,複数の専門家から得ることができるという説明であった。 それらの調査を踏まえて,代表者が日本の民事訴訟で利用可能な,複数専門家の口頭での意見交換を法廷で行う方法として新たに考案した「カンファレンス尋問」という方法について,シンガポールの国際学会や日本医事法学会第46回研究大会,民事訴訟学会関西支部,東京弁護士会医療過誤法部研究会で専門訴訟における専門家の活用について,個別報告を行った。 また,英語論文を発表して国際的に成果発信をするとともに,法律実務家の間で広く読まれている雑誌に,「カンファレンス尋問」の具体的方法とメリットを紹介する論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内,国外での調査は順調に進んでおり,成果発表も海外及び国内の学会報告,英語及び日本語での論文発表と順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
学会報告の結果を学会誌に発表するとともに,法学者,法律実務家,医療関係者の集まる研究会での報告・意見交換を行うなどして,カンファレンス尋問を具体的に実務に浸透させるための改善案を検討するとともに,普及を図りたい。
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Causes of Carryover |
当該年度に英語論文を発表するための翻訳料を見込んでいたが,論文の執筆・発表を次年度に延期することにしたため,その費用を繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英語論文の翻訳料として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)