2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study of the Usage of Expertise in Medical Litigation -Beyond Document by Court-appointed Experts and Cross Exmination
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15K03256
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平野 哲郎 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00351338)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 専門訴訟 / 医療訴訟 / カンファレンス尋問 / 診療ガイドライン / 鑑定 / 専門委員 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,最終年度であるため,今までの調査結果や研究成果をとりまとめて公表した。 医療訴訟における専門的知見の活用という観点から,診療ガイドラインの訴訟における活用の意義を論じた論文を発表した。この論文では,診療ガイドラインの訴訟での利用は医療界の受け止め方とは異なり,法の医療への介入ではなく,むしろ医の自律性の尊重であること,診療ガイドラインの利用には専門家の意見が必要であることを述べた。 9月には立命館大学で,オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の土地・環境裁判所のブライアン・プレストン長官を招いて,国際シンポジウム「専門的証拠のための訴訟手続き:科学の専門知を法廷でどう扱うか?」を開催した。このシンポジウムでは,オーストラリアのコンカレント・エヴィデンスを紹介しつつ,そのエッセンスを日本の訴訟実務に導入するための方策を議論し,多くの研究者,実務家,報道関係者の参加を得ることができた。 また,判例時報誌が新たに創設した懸賞論文に応募し,「医師民事責任の構造と立証責任」で第1回奨励賞を受賞した。この論文では,医師民事責任を不法行為法理で追及する従来の実務の理論上,実践上の問題点を指摘し,契約責任構成を取ることのメリットを論じた。訴訟実務上も問題となる遅延損害金の問題にも解決策をあげ,実務にも配慮している。 そして,同論文を含む書籍として『医師民事責任の構造と立証責任』(日本評論社)を出版した。同書では,医療訴訟において専門的知見を活用する方策として,カンファレンス尋問や診療ガイドライン,専門委員の活用について,実践的な提案を行っている。 なお,海外でも台湾,アメリカで研究報告を行い,英語論文も2018年6月に公表予定である。
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Research Products
(6 results)