2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K03262
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斉藤 友之 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90340281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正生 埼玉大学, 経済学部, 教授 (00240698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 意思決定 / 政策形成 / 選択基準 / 予算編成 |
Outline of Annual Research Achievements |
自治体における政策形成時および予算編成時の意思決定を把握するため、先行研究および関連研究のレビューを継続したが、「政策の類似性回避」に関する研究は確認できなかった。一方、「政策作成・予算編成時の同調」と「政策・財政方針の保持」については、表現は異なるものの、意思決定過程に強く意識されているとする研究がいくつか見受けられた。しかし、以上の3つが意思決定で重要な位置を占めるか否かに関する研究は、確認できなかった。 これらの項目が意思決定の重要な点か否かを確認するためのアンケート調査案を、組織の内部(方針、ルール)、組織の外部(国や圧力団体など)、職員個人資質の3分野に分けて質問を用意し、これらの中から再度「政策の類似性回避」「政策作成・予算編成時の同調」「政策・財政方針の保持」の重要性を相対比較を試みた。その結果、分散が激しく、必ずしも3つに集約することができなかった。質問内容を再検討する必要が明らかとなった。 民間企業に勤める人と公務員の意思決定が同じか、それとも異なるのかを明らかにするために、民間の場合、新規の事業を作成するケースに関わる人がが少ないこと、業種によってその差が激しいことなどから、自治体との共通性を保持するためには予算編成に限定することが望ましいことが明らかとなった。なお、昨年の段階では、Webによるアンケート調査は同じ調査にすることができないことや、たとえ実施してもデータ統合が困難出ることなどから断念したが、予算編成に限定した調査であるならば、比較可能でると想定されるため、次年度の課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由) 計画当初設定たい「政策の類似性回避」「政策作成・予算編成時の同調」「政策・財政方針の保持」の具体的意味内容が多様にあることや、民間との比較を通じて公務員の特質を浮き彫りにしようとするあまり、質問事項を特定できない。 予算編成過程における意思決定を把握するための準備として、近隣の自治体に協力を得て聞き取り調査を行い、そこから編成過程が異なるケースが多く、意思決定のレベルを合わせることが難しい。 以上のように、想定したことを予備調査で確認を繰り返すことが多いことが遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
大まかな流れは以下の通り。まず、8月までに、2~3の自治体への聞き取り調査において、新規政策形成と予算編成時の二つに分けてのプロセスと意思決定ポイントを特定する。それを受けて、新規政策形成時の意思決定ポイントと予算編成時の意思決定ポイントがにおいて、それぞれのポイントのうち何に集中するかを、10月~11月頃に自治体へのアンケートで確認する。アンケート自体は、これまでの調査において、回収効率と直接的な質問事項の設定と質問項目の限定化による有効性の向上を意識し、おおよそ質問事項は、属性、新規政策作成時のポイント、通常業務の意思決定のポイントの3つで、A42枚で作成する。アンケートの対象は、2~3の自治体でサンプル数は500程度を目指す。12月~1月かけて集計・分析し、2月には原稿化する。
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Causes of Carryover |
当初、意思決定の要因を3つに特定しそれを元にシミュレーションソフトによって意思決定が行われていることを再現する予定だったが、アンケートを充実させる方が望ましいと判断し取りやめたため、執行額が大幅に残ることとなった。今年は、たんケート調査費と聞き取り調査旅費を中心に支出する予定である。具体的には、アンケートを3回程度実施すること、集計を業者に依頼し、研究効率をあげる。合わせて、自治体への聞き取り調査を3箇所程度行う。
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