2016 Fiscal Year Research-status Report
コミュニタリアニズムと幸福研究――政治経済学における理論的・実証的展開
Project/Area Number |
15K03263
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 正弥 千葉大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (60186773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 哲生 千葉大学, 法政経学部, 准教授 (10384869)
石戸 光 千葉大学, 法政経学部, 教授 (40400808)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポジティブ心理学 / 幸福研究 / 政治経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献による思想的・哲学的研究を行った上で、主に政治学・経済学・社会学・心理学の理論や実証研究の知見を包括的に考察した。それに加えて、ヒアリング、アンケート調査などの実証研究を進めた。千葉大学の学生を対象に調査票記入を行ってもらい、分析を進めた。データ収集手法はポジティブ心理学、幸福研究の先行研究を参考にした。研究代表者以下の3名のメンバーと連携研究者とが分担して取り組んだ。各自が分担研究を進めつつ、年間3回の全体研究会を行い、公共哲学センターで毎月ミーティングを行って、進行状況を確認した。 小林は、ポジティブサイコロジー医学会第5回学術集会(平成28年10月22日、龍谷大学)で「ポジティブで幸せな社会に向けて」というシンポジウムを組織し、その議論の一部を『公共研究』第13巻第1号(平成29年3月)で公表した。また、ポジティブ心理学と公共哲学の関係について『公共哲学』で論考を公表したほか、このプロジェクトの成果を中心とした論考を『福祉の哲学とは何か――ポスト成長時代の幸福・価値・社会構想』(2017年、広井良典編、ミネルヴァ書房)にて公表した。平成29年度は国際ポジティブ心理学会(カナダ、モントリオール)で2つのプレゼンテーションを行うことが決定している。 石戸は、ポジティブ心理学と経済学に関して『公共哲学』で論考を公表した。 小川は、ソーシャルクオリティの研究成果に基づいて、英文論考を『公共哲学』で公表した。 連携研究者の木下は、コミュニタリアニズムの観点から群馬県富岡市における世界遺産を中心とした観光まちづくりについて調査を重ね、報告書で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
小林・石戸に関しては、昨年同様に研究を進めて成果を公表した。海外の研究者とも交流を進めており、今後の研究についての貴重な示唆を得た。昨年度は論文を発表しなかった小川も研究成果を英文論文として公表した。 特に小林は、このプロジェクトの成果を中心とした論考を「福祉哲学の新しい公共的ビジョン――コミュニタリアニズム的正義論とポジティブ国家」として『福祉の哲学とは何か――ポスト成長時代の幸福・価値・社会構想』(平成29年、広井良典編、ミネルヴァ書房)にて公表した。 『公共研究』でも、毎年メンバーによる論考を公表している。さらに、このプロジェクトを中心に学外の研究者との研究ネットワークも進展しており、慶應義塾大学・前野隆司教授の「ポジティブサイコロジーと日本人の幸せ」と京都大学・広井良典教授の「幸福政策は可能か――幸福をめぐる理念と公共政策」という論考も『公共研究』に収録された。 学会発表でも次年度に続く成果を残した。小林が日本看護管理学会(平成28年8月)とスピリチュアルケア学会(平成28年9月)で発表を行った上、日本ポジティブサイコロジー医学会(平成28年10月)でシンポジウムを組織し、座長を務めた。平成29年度も国際ポジティブ心理学会(カナダ、モントリオール)で共同発表を含め2つの学会発表を行うことが決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
全体を検討しながら、分野別の研究を継続する。ここまで順調に進展したので、引き続き、この体制で遂行する。実証調査を継続し、データ入力とその分析を本格的に進める。小林・石戸・木下は、平成29年度末に『公共研究』にて成果発表を行うことを目指す。 小林は、ポジティブ心理学と公共哲学やコミュニタリアニズムについて日本語論文と英語論文を執筆し、『幸福研究ジャーナル』に英文論文を投稿する。さらに、平成29年7月には国際ポジティブ心理学会(カナダ、モントリオール)で2つのプレゼンテーションを行い、成果を公表する。自治体における実証調査の可能性については、引き続き、検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画にて計上していた調査旅費・研究旅費の支出を低く抑えることができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の調査補助作業謝金として使用する予定である。
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