2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Introdiction of Jury Systems in Japan: A Comparative Study
Project/Area Number |
15K03267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿毛 利枝子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10362807)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 裁判員制度 / 比較政治学 / 司法政治 / 陪審制 / 参審制 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度行った作業は大きく2つである。 第一に、本研究プロジェクトは前年度までに、我が国における裁判員制度導入過程を、韓国・台湾・スペインとの比較において検討したが、平成30年度には、この比較をさらに拡大し、イギリスやアメリカ、フランスやドイツなど、陪審・参審制の先進国といわれる国々において歴史的に刑事裁判の参加制度が導入された過程との比較を行った。この作業は主として文献研究が中心となったが、一部アメリカにおいて現地調査も行った。 第二に、裁判員制度が導入後に及ぼしたインパクトについても、前年度に引き続き分析を行った。裁判員制度の導入によって、判決や刑事手続きにはどのような影響が出ているのか、出ていないのか。裁判員を務めた市民の意識にはどのような影響があったのか、なかったのか。裁判員制度が実際に影響を及ぼしている点、いない点は、当初の制度設計者の意図とどの程度符合するものなのか。この作業においては、最高裁判所の公表している統計資料の分析を中心に行った。この分析は、前年度までに公表した成果においても一部分析を行っていたが、その後公表されたデータを追加することで、より長期にわたるスパンの分析が可能となった。分析の結果、裁判員裁判の導入後、性犯罪など一部の例外を除き、厳罰化の傾向はみられず、むしろ死刑判決・無期判決の比率は顕著に低下していることが分かった。 これらの成果は平成30年6月にトロントで開催されたLaw and Society Associationの年次総会や、31年2月に東京大学社会科学研究所において開催された研究会等で発表し、フィードバックを得ることができた。いずれの機会においても、貴重なコメントを頂き、研究の改善に役立てることができたのみならず、研究者だけでなく実務家とのネットワークを広げることができた。いずれも近いうちの公刊に向けて現在準備中である。
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Research Products
(3 results)