2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03275
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 百合子 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (30432553)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民主主義 / ラテンアメリカ / 福祉国家 / 福祉再編 / 政治経済学 / 貧困 / 格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、民主化後30年が経過したラテンアメリカにおける、政治的および政治的要因を包括的に検証することを通じて、福祉国家再編を促した要因を解明することを目的としている。平成27年度は、(1)日本での予備調査、(2)チリでの現地調査、および(3)日本でのまとめの作業を予定していたが、(2)の現地調査を行わなかった。当初、チリのサンチアゴ市にある、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)を訪問し、ECLACが長年研究を行ってきた、ラテンアメリカ諸国における福祉再編の最新動向について資料入手および聞き取り調査を行う予定であったが、ECLACが福祉再編について国別にまとめたものを出版したため、日本における予備調査の段階で、重要なデータおよび情報を乳することが可能となったため、現地調査を行わなかった。こうした理由により、日本で入手可能なデータを用いて、(1)日本での予備調査、およb(3)日本でのまとめの作業を行うことに集中した。また、福祉再編についてECLACが国別にまとめた出版物を読み込む過程で、さらに文献を検索する必要が生じた。したがって、今年度は、主に文献や一次資料に依拠しつつ、ラテンアメリカ全体、および各国における福祉再編の動向(本研究における従属変数)の理解を集中的に行っうことに専念した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、当初予定していたチリにおける現地調査の必要性がなくなったために、現地調査を行わなかったが、チリで収集予定であった資料は日本で入手できたために、研究の遅延をもたらすに至らなかった。その他、ブラジルにおける経済の失速、および政府機関の汚職が大統領の弾劾手続へと至るまでに問題化したことを受けて、社会的保護政策にも大きな変化が生じた。こうした予期せぬ政治状況の変化を背景に、福祉再編についての信頼できる情報やデータを得ることが難しくなったため、平成28年度に予定しているブラジル現地調査について再考する必要が生じた。しかし、この予期せぬ事態は、本研究課題の目的に影響するものではない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、海外の学会で平成27年度に実施した研究の途中成果を報告すること、およびメキシコで現地調査を行うことによって、福祉再編を促した要因を、定性的に分析することを予定している。また、同様に現地調査を予定していたブラジルについては、政治的混乱により現地調査の目的を遂行することが難しい見通しであるため、必要な情報およびデータを入手するための代替的方法を探る必要がある。
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Causes of Carryover |
当初、平成27年度のにチリのサンチアゴ市にある国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会へ赴き、ラテンアメリカ諸国における福祉再編に関する最新動向を把握するための情報・データ取集、および聞き取り調査を行う予定であったが、同機関が、本研究に必要な国別の分析を出版物の形で公開し、日本でも入手可能となったため、現地調査を行う必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本で入手可能となった上記文献を読み込む過程で、さらに読むべき文献についての情報を得ることができ、こうした書籍の購入に使用する予定である。
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