2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03289
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
坂部 真理 大東文化大学, 法学部, 准教授 (30513668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新自由主義/新保守主義 / アメリカの教育改革 / 資本主義の多様性 / アメリカ政党政治 / 福祉国家再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、1980-2000年代初頭のアメリカの教育改革を事例として、新自由主義(新保守主義)勢力が追求する政策の多様性およびその歴史的変化を、政党と多様な社会集団の間の連合関係の変化から分析することである。この課題の下、H.28年度は、主に三つの作業を行った。第一の作業は、主要な経営者・経済団体、社会的・宗教的保守派、リバタリアン系シンクタンクなど、アメリカ保守勢力を構成する多様な社会集団が、1980年代以降の教育改革の過程で果たした役割の分析である。9月には議会図書館で二回目の資料収集を行い、主な保守系団体が刊行した報告書や議会公聴会での各団体代表者の発言、当時の新聞記事などを収集した。これらの資料を基に、教育改革に関する保守系集団の間の改革アイディアの異同、その歴史的変化、彼らの間のネットワーク形成や政府に対するそれぞれの影響力行使の過程などを分析し、一本の論文にまとめた。 第二の作業は、2000年代のアメリカの教育改革が州に与えた影響の分析である。分権的なアメリカの教育行政制度の下では、連邦レベルで決定・導入された新制度を、州レベルのアクターが別の政策目標の追求のために「転用」する機会が存在するという点に着目し、このような制度「転用」の過程をニューヨーク州の事例などを基に分析した。 第三の作業は、同時期の日本の教育改革との比較分析である。同じく「新自由主義/新保守主義」に基づいて実施されたといわれる日米の教育改革には、改革アイディアやそれらを推進した政策連合の構成などの点で差異があるのではないか、という認識から、1980年代から2000年代にかけての日本の教育改革に関する先行研究を検討した上で、臨教審などの刊行物・当時の新聞記事などを収集・分析した。これらの検討結果については、現在、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にH.28年度の目標として挙げた研究は二本の論文として刊行できた。 またH.29年度にアメリカで短期在外研究を行う機会を得たため、今年度はその準備作業として、本来の研究課題であるアメリカの教育改革過程の分析と並行して、その比較対象となる日本の教育改革についても検討も行った。但し、この部分は英語論文の形で執筆を進めてきたため予想より多くの時間を要し、年度内の完成に到らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
H.29年度は在外研究の期間中に、共和党政権・議会に関する資料収集を行い、共和党と諸保守系集団のアイディアの相互作用の過程について分析する。また、日本の改革過程との比較という観点からも分析をまとめる。
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Causes of Carryover |
書籍の購入を翌年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定された書籍購入をH.29年度予算の中で執行する。
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Research Products
(2 results)