2019 Fiscal Year Annual Research Report
Will the Activation of Women Contribute to the Realization of a War-Free State?
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15K03292
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鳴子 博子 中央大学, 経済学部, 教授 (00586480)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ルソー / フランス革命 / ヴェルサイユ行進 / ジェンダー / 拒否権 / ポーランド分割 / ヨーロッパ統合 / ブレグジット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は国民国家の生成期以前に、国民国家とは一線を画する国家構想を提示したルソーの論理―「アソシエーション=国家」構想―に焦点をあて、その論理を分析視座として、戦争をしない国家の創出の論理を探究する。本研究は、また、女性のどのような貢献が戦争をしない国家の創出には必要かという問題意識をもっている。 研究の進展に伴い戦争一般から「フランス革命(内戦や諸外国との戦争を伴う)」に分析対象を絞り、元年度の研究課題を「<ジェンダー・暴力・権力>の探究」とした。 まず、編著『地球社会の複合的諸問題への応答の試み』所収の「ルソーの『ポーランド統治論』から見たヨーロッパ政治秩序」では、『ポーランド統治論』に見られる自由拒否権へのルソーの特異な評価を参照点にして、ルソーが当時のポーランドの現状と危機脱出の可能性をどう捉えたのかを明らかにし、さらに現代のイギリスのEU離脱の分析を通してヨーロッパ統合のもう一つの在り方を考察した。次に「ルソー的視座から見た1792年8月10日の革命」(共著『暴力・国家・ジェンダー』所収)では、上の論考で俎上に載せられた国王の拒否権を軸として、8月10日の革命(第二革命)を分析した。民衆は拒否権を発動した国王を倒し王政を終わらせたが、第二革命は戦争状態を終わらせはしなかったことが明らかにされた。「ルソー的視座から見た時間・空間のジェンダー「フランス革命」論」(編著『ジェンダー・暴力・権力』所収)は、上の問題意識を継承し、戦争状態を終わらせるものは何かという視角から、ヴェルサイユ行進とヴェルサイユ行進後の影響圏の中で進行するロラン夫人の闘い、第二革命、最高存在の祭典を捉え直した。 3月5日~ 23日に実施した資料収集のための海外出張(ジュネーヴ、バーゼル、パリ)では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、パリでの資料収集を行えなかったが、事態の収束後、補うこととしたい。
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