2016 Fiscal Year Research-status Report
被災自治体に対する垂直的な人的支援に関する研究―非常時における官僚の地方出向―
Project/Area Number |
15K03298
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大谷 基道 獨協大学, 法学部, 教授 (80705939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲継 裕昭 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90289108)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 出向官僚 / 中央地方関係 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①東日本大震災の被災市町村に対する中央官僚の出向の背景、経緯、実態、効果等を明らかにし、非常時における中央地方関係の実態を解明すること、②日本の中央地方関係についての理論モデルを検証し、非常時における国と地方の役割分担のあり方や広域自治体(県)のあり方についての示唆を得ること、である。 ①に関しては、被災市町村の自治体運営にどのような変化が生じ、どのような人材を必要としたのかについて、国及び関係市町村の報道資料や議会議事録、マスコミ報道、関係者の手記、研究者による研究論文等を渉猟し、時間軸に沿った整理を実施した。同時に、被災市町村にどのような経歴を持つ人材が実際に出向してきたのかを明らかにするため、各種名簿等を用いて当該出向官僚のキャリア分析も行った。さらに、それらの背景を踏まえつつ、実際に被災自治体に出向した中央官僚に対するインタビュー調査を実施した。また、平常時における中央官僚の地方出向に関するデータの収集・分析も行い、非常時の地方出向との相違点の検証を進めた。 ②に関しては、中央地方関係に関する先行研究のレビューを行い、既存の理論モデルについて検証を進めるとともに、国と地方の重要な結節点の一つである都道府県東京事務所と中央省庁との関係についても調査した。また、国・地方の役割分担や広域自治体(県)のあり方に関するこれまでの議論について、国の地方制度調査会創設以来の同調査会関係資料および同調査会での議論等をめぐる各種論文等の諸文献を調査し、歴史的および法的な面から検証を進めた。さらに、復旧・復興行政における県の役割が平常時とどのように異なっているのかを把握するため文献調査を行い、関係者インタビューの準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査については、ほぼ予定どおりの進捗状況と考えられる。関係者に対するインタビュー調査については、相手方のスケジュールの関係等により実施がやや遅れ気味のものがあるものの、次年度前半には概ね実施できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
「被災市町村への中央官僚の出向の経緯、実態、効果等の解明」については、引き続きヒアリング調査を実施する。また、「中央地方関係に関する理論モデルの検証」および「国・地方の役割分担、県の存在意義等に関する考察」については、先行研究レビューの総括を行うとともに、必要に応じて関係者に対するヒアリング調査を補完的に実施する。 最後に、初年度からの研究によって得られた知見をもとに成果をとりまとめ、論文、学会報告、被災自治体へのフィードバック等の形で公表する。
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Causes of Carryover |
中央官僚や被災自治体に対するインタビュー調査について、相手方のスケジュールの関係等により実施が次年度にずれ込んだものがあるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関係者インタビューのための国内旅費、録音起こし経費など。
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