2016 Fiscal Year Research-status Report
ウェストミンスター・モデル諸国と日本における議会慣習の国際比較
Project/Area Number |
15K03304
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小堀 眞裕 立命館大学, 法学部, 教授 (70253937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウェストミンスター / 議会解散 / 慣習 / 国民投票 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度(2016年度)は、日本における衆議院解散に関する思想の変遷をたどるために、宮内庁書陵部や国立国会図書館憲政資料室において明治憲法制定時及びその直後の政治家・官僚たちの発言や思想に関して資料を収集し、それらの内容の分析につとめた。また、他方で、そうした衆議院解散と比較してイギリスにおける議会解散に関する考え方について、ヴィクトリア期や20世紀初頭および戦後における憲法学者や政治家の考え方に関して、文献資料に当たりつつ調べた。日本においては、英国の議会解散を研究してきたのは、主として憲法学の分野であったが、不思議なことに、宮澤俊義や樋口陽一などの先行研究においては、ほとんど英語文献(特に英国の憲法学者の文献)に対する参照がなく、英国では全く使われていない「自由な解散」という考え方が、英国流のものとして紹介されてきた。本研究は、その問題の解明に取り組んでいる。
その成果に関しては、植松健一・小堀眞裕「日本の解散権は自由すぎる!?―苫米地事件」、 山口、出口、清水編著『憲法判例からみる日本 法×政治×歴史×文化』として、9月に発表したが、引き続き、日本語・英語において研究成果を、日本語と英語の両方で学術に投稿しようとしている。また、イギリスのEU離脱を方針づけた国民投票とヨーロッパ各国の国民投票との比較研究を行い、『生活経済政策』の論文として発表した。この論文テーマは、科研の課題と全く同一ではないが、ウェストミンスター的な考え方における国民投票の位置づけを浮き彫りにしており、関連した研究と言える。他方、オーストラリアにおいて憲法学者や政治学者に対する聞き取りや資料収集を予定していたが、学内行政多忙のため出張機関が確保できず、2016年度は実現できなかった。これに関しては、平成29年度(2017年度)に行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果と言う点では、植松健一・小堀眞裕「日本の解散権は自由すぎる!?―苫米地事件」、 山口、出口、清水編著『憲法判例からみる日本 法×政治×歴史×文化』や、国民投票と「民主主義の赤字」 小堀眞裕 生活経済政策 239, 5-10 2016/12などの形にしたが、イギリスやオーストラリアでの調査を予定していたが、これについては、行うことができなかった点が、遅れのポイントである。
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Strategy for Future Research Activity |
2年にわたる学内行政の役職も3月で終了し、日程的には余裕ができたので、9月には自らの研究成果を報告するために、オーストラリア政治学会で発表する予定である。それに合わせて、オーストラリアの憲法と議会システムに関しては、現地の研究者に対してヒアリングを行う予定である。それらの成果を踏まえて、日本語論文と英語論文と言う形で成果を学術誌に発表したい。
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Causes of Carryover |
28年度は、学内役職上で土曜・日曜に役職上外せない業務が入ることが多く、予定していた海外出張に行くことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に、学内役職上外すことができなかった土曜・日曜業務が、29年度は存在しないので、9月に昨年度予定していた研究出張を入れることができ、昨年度使えなかった科研費については使用可能と考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 『憲法判例からみる日本 法×政治×歴史×文化』2016
Author(s)
山本 龍彦 (著, 編集), 出口 雄一 (著, 編集), 清水唯一朗 (著, 編集)、植松健一・小堀眞裕著、山田哲史・日比嘉高著、白水 隆・宇野文重著、徳永貴志・砂原庸介著
Total Pages
304(253-274)
Publisher
日本評論社