2015 Fiscal Year Research-status Report
条約プロセスマネジメント―地球環境保全に向けた諸アクターの分散型応答の影響―
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15K03305
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
久保 はるか 甲南大学, 法学部, 教授 (50403217)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地球温暖化(気候変動) / エネルギー政策 / 専門的知見 / Transnational governance / 条約の実施 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「必ずしも条約上の義務や国家の政策に基づかずに州ないし自治体、産業セクター等が行う独自の取組みの相互関係を視野に入れ、それによってもたらされる条約レジームと国内政策への影響を分析することを目的とする」(申請書より)。今年度は、気候変動対策の国際交渉で観察される新しいアプローチ、Multilateral governanceからTransnational governanceあるいはBuilding blocks approachへの変化を主導する立場にいるカリフォルニア州の気候変動対策・エネルギー政策の最新の動向について、文献調査・情報収集を行った。この新しいアプローチは、分散的でブロックごとの合意の積み重ね(いくつものネットワークによるparallel agreement)が、国際的な取組みを進展させる側面に着目するものである。 とりわけ、Transnational governanceやBuilding blocks approachを体現する主体として、国境を越えた自治体間ネットワーク(特に興味深いものとして、カリフォルニア州とカナダのケベック州との間の排出量取引の事例)、相互に協力できる妥協点を探る環境NGOと産業界とのネットワーク(US Climate Action Partnership)に着目して情報を収集し、調査結果を整理した。また、政策の方向性(気候変動対策の中期目標、再生可能エネルギー・車の燃費・充電池の設備目標等)を決定する政治過程における専門家の役割・専門的知見の活用に着目した。日米比較の観点からは、政策の方向性を決定する形成過程における専門家の役割・専門的知見の用い方に着目するのが有用であると考え、現時点での調査・分析結果を学会報告と論文で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アメリカ在外研究中に得たカリフォルニアの地球温暖化対策・エネルギー政策の最新動向について知見を踏まえて、当初の計画を若干修正して進めている。当初計画では、オゾン層保護条約の国内実施に関する自身の研究蓄積との比較のため、同様の分析をアメリカについても行うことを計画していたが、アメリカにおいて現在重要な政治課題となり、政策変化が観察される気候変動対策とそれに密接に関連するエネルギー政策に研究の対象を絞り、それに関連する部分でオゾン層保護についても分析することとする。 このように、当初計画の研究対象に変更を加えるが、当初計画の研究目的には変更ない。オゾン層保護について、今後、当初計画通り時間をかけて調査研究を行うべきとの判断がなされる余地を考慮して、現在の進捗状況を「やや遅れている」と記す。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、カリフォルニア州の地球温暖化対策・エネルギー政策の政策過程における専門的知見の活用、カリフォルニア州から発信される国境を越えた自治体ネットワーク、協力できる妥協点を探る環境NGOと産業界とのネットワークについて、最新の動向に注視しつつ、調査・分析を進め、成果を発表する。必要に応じて、海外調査も計画する。
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Causes of Carryover |
今年度は、既述のように当初計画に若干の変更を施し、カリフォルニア州における気候変動政策とエネルギー政策に関する調査を研究の柱に添えたので、当初計画で予定していたアメリカでのインタビュー調査にかかる旅費とコーディネーター謝金を支出しなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にカリフォルニアでの海外調査を予定しているので、次年度配当予算で不足すると思われる物品費・旅費に充てることとする。
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