2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03308
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 文子 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80555243)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 規範普及 / 人身売買 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ASEANといった地域機構に関する対策に着目すると同時に、ASEAN+3が抱える北東アジア地域における人身売買をめぐって、誰によってどのように同問題をフレーミングし、問題視化しているのかについても分析をおこなった。また、日本政府による人身取引対策行動計画の策定や改定を追いながら、「人身取引対策推進会議」での決議案を題材に日本政府の対策・方針にも着目した。北東アジア地域を形成する中国、韓国、日本で人身売買問題の捉え方をめぐって共通認識が欠如していること、および歴史認識や領土問題の存在が反人身売買をめぐる地域の取り組みネットワーク形成に影を落としていることも議論した。これらの研究成果について学会で発表する機会も得た。 また、規範普及プロセスにおけるアクターの対話として、国内外の研究機関やNGOから研究者を招き、東北大学でワークショップを開催した。反人身売買や人権といった規範普及を目指して、グローバル且つ分野を超えたネットワーク形成について深く議論することができた。 さらに、米国スタンフォード大学を滞在し、そこで地域機構の一つである米州地域機構の人権委員会委員も務めている教員等と研究交流する機会に恵まれ、東アジアにおける地域機構の役割を理解する上で貴重な情報を得ることができた。 同時に、ASEAN地域との比較を念頭に、ヨーロッパにおける人身売買の現状とその対策について、これまでの研究をまとめて発表する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東アジアにおける人身売買のネットワーク形成を分析するにあたって、同地域の政府やNGOの対策を調査することが出来たこと、さらに、ここまでの研究成果を発表したことによって、学会等において他の研究者からの貴重な意見を得ることができたことから、本研究テーマを分析するための材料を揃えつつある。 さらに、引き続き米国スタンフォード大学の数名の研究者との研究交流を通して、ASEANを含む東アジアにおけるネットワークを理解する上で有用な、米州機構の人権委員会の情報も得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
ASEAN地域へのインタビューと米州機構への調査・インタビューを予定している。異なるレジームを孕む東アジア地域と同様に、異なるレジームを抱えている米州が、どのように人権規範を普及させているのかを見ることは大変有意義であると考える。また、東アジア地域を中心に、反人身売買ネットワークについてまとめ、学会での発表および論文集や書籍執筆を通して一定の結論を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたASEANでのインタビューを次年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ASEANでのインタビューおよび米国でのインタビューを予定している。
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