2016 Fiscal Year Research-status Report
越境的アクターの政治的機能ー太平洋島嶼地域における台湾承認問題をめぐって
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15K03320
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小柏 葉子 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (30224091)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トランスナショナル / 太平洋島嶼地域 / 台湾 / 先住民族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、事例研究として、太平洋島嶼地域における台湾承認問題をめぐる越境的アクターとしての先住民族の政治的機能に関する研究調査の遂行と分析に比重を置き、以下のように研究を実施した。 ①前年度に引き続き、太平洋島嶼地域における台湾承認問題をめぐる越境的アクターとしての先住民族の政治的機能について、国立国会図書館をはじめとする国内の研究調査機関において、文献調査を中心に関連研究資料の収集を進め、整理を行った。 ②研究の中間とりまとめとして、グァムで開催された国際学会において、台湾ー太平洋島嶼諸国関係における越境的政治アクターとしての台湾先住民族の政治的機能に焦点を当てた報告を行い、出席者からフィードバックを得るとともに、学会に参加したハワイやフィジー、オーストラリア、台湾などの研究者と意見交換を行い、研究交流を図った。 ③台湾先住民族や太平洋島嶼民といった「オーストロネシア民族」によって構成される越境的な交流枠組みとしての国際オーストロネシアン会議に関し、台湾・高雄市および台東市において、関連諸機関での研究資料の収集と台湾原住民族関係者等に対する聞き取り調査を実施した。また、現地研究機関において、研究の中間成果を報告し、現地研究者と意見交換を行い、研究交流を深めた。 ④国内外の研究機関等で収集した関連研究資料、および海外現地調査で実施した聞き取り調査の整理と分析を行い、本研究課題に関する考察を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画として設定した、事例研究としての太平洋島嶼地域における台湾承認問題をめぐる越境的アクターとしての先住民族の政治的機能に焦点を当てた研究調査の実施は、おおむね順調に進めることができた。 特に、研究中間とりまとめとして、グァムにおいて開催された国際学会で行った研究報告、および台湾の研究機関において行った研究中間成果報告は、海外の研究者から直接のフィードバックが得られたことにとどまらず、本研究課題の進捗状況について広く情報発信をすることができたという点で、今後の研究の展開に寄与するものと考えられる。また、上記二つの機会において、意見交換を行い、研究交流を深めた海外の研究者とネットワークを構築することができた点は、今後、本研究課題をさらに進捗させていく上で、大きな意味を持つものになったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに蓄積した研究調査資料や聞き取り調査の分析といった研究実績に基づきながら、今後は最終的な研究課題の取りまとめに向けて、研究を進めていく予定である。 まず、これまで行ってきた太平洋島嶼地域における台湾承認問題をめぐる越境的アクターとしての先住民族の政治的機能に関する研究調査資料の精査をもとに、実証的な総合分析を行う。あわせて、本研究課題の補充的な関連調査資料を国内、および海外の調査研究機関において収集を行い、分析する。また、本年度の研究実施過程で構築することができた海外の研究者とのネットワークを活用し、本研究課題に関して、海外の研究者との意見交換、および研究交流をさらに深めていくことも図りたい。そして、これらの研究作業を踏まえ、太平洋島嶼地域における台湾承認問題をめぐる越境的アクターとしての先住民族の政治的機能を事例研究として、国際関係における越境的アクターの政治的機能について結論を導き出し、その最終的研究成果を報告書としてまとめ、日英両言語によって公表するとともに、学会等において発表し、研究成果を広く発信していくことに努めていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度の研究実施過程で、国際学会や現地研究機関において意見交換を行った海外の研究者とネットワークを構築することができたが、そうした新たな研究者ネットワークを活用した海外現地調査を本年度内に準備し、次年度に実施する計画を立てたことから、本年度は研究費の支出を控え、残額が生じた。 あわせて、研究課題に関する洋書の発注を行ったものの、数冊は刊行の遅れから、本年度は未着となったため、研究費に残額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、上述の海外現地調査を予定しており、残額からそれに支出を行うことを計画している。加えて、本年度納入が完了しなかった発注済み洋書が次年度には納入されると考えられることから、あわせて残額から支出する予定である。
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[Presentation] Region in International Relations2016
Author(s)
小柏葉子
Organizer
Seminar of Center of Austronesian Culture, National Taitung University
Place of Presentation
Center of Austronesian Culture, National Taitung University, Taitung, Republic of China
Year and Date
2016-12-26
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