2015 Fiscal Year Research-status Report
東アジア伝統地域秩序の再考察:朝貢体制の原理、規範、慣行
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15K03326
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
金 鳳珍 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (90254614)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 朝貢体制 / 重層性 / 交隣 / 公天下 / 礼、理 / 位階性 / 主権 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は基盤研究(C)の補助事業期間一年目であり、研究課題の概論的な論文を英語で書き上げた(題名は、Rethingking the Traditional East Asian Regional Order: The)。Tribute System as a set of Principles, Norms and Practices)。同論文は台湾の学術誌Taiwan Jornal of East Asian Studiesの編集を経て、おそらく平成28年発行の同誌に掲載される予定である。その内容は、題名通り、東アジア伝統地域秩序を再考する目的の下で、欧米学界における関連研究を検討しつつ、朝貢体制の原理、規範を考察したものである。そのなかで、朝貢体制の重層性を示したうえ、まず、準朝貢体制の一例として朝鮮の「交隣」体制の原理と現実を検討した。次に、朝貢体制の原理として「公天下、礼、理」に触れた後、理や天理の意義や含意を検討した。第三に、道教や儒教の言説を通して、位階性と主権についての新しい解釈を試み、東アジア伝統地域秩序の中国のみならず他の国家も保持していた「特有の主権」とその性格を考察した。最後に、近代国家体制を批判的に考察したうえ、中国の台頭という問題を検討し、将来の新しい東アジア地域秩序(や地球秩序)の構築において、朝貢体制の原理が持つ可能性を提起した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上の「概要」で記したように、研究課題の大筋として概論的研究を書き上げることができたが、概論で取り上げた項目を充実な各論として仕上げるまでは至らなかったと考えるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、概論で取り上げた項目についてより緻密な考察を付け加え、充実な各論を仕上げていく予定である。またその他、必要な項目を啓発して考察しつつ、研究課題の質をさらに高めていく方向で、研究を推進していくつもりである。
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Causes of Carryover |
平成27年度は本基盤研究(C)の初年度であって、同年度の予算額600,000円を、予定より若干少なめに使うことにした。次年度から本格的な研究活動を行うことを目指して、少しでも節約したいと考えたからである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
それによって発生した予算残額(76,541円)は、次年度使用額とし、平成28年度にはより活発な研究活動とその推進に使用させていただく計画である。
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