2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03329
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
青井 千由紀 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (60383494)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 包括的アプローチ / 安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、米国への出張は延期となったものの、英国、オランダについては聞き込み調査をおおむね予定通り行うことができた。アフガニスタンからの撤退に伴い、包括的アプローチに関連する概念やドクトリン、制度は変更あるいは撤廃されたかという問いについては、オランダについては目立った変更なしにドクトリンや制度が継続されていることが明らかになった。一方、英国については軍レベルで関連領域のドクトリンの見直しがされていることが明らかになった。その文民組織への影響は現状では未定であるが、軍、文民双方において引き続き安定化支援のための包括的アプローチの強化が重視されている模様である。まだドクトリンの改訂自体が継続中であるため、次年度以降も継続してモニターする必要がある。 今日的包括的支援の重点領域、国については、引き続きアフガニスタン支援の継続の重要性が認められたが、イラクやシリアなど中東、アフリカにも関与が拡散している背景から、詳細については聞き込み調査を続ける必要がある。 特に着目されるべきは、英国において、伝統的に分離してきた低強度戦と通常戦争(国家間戦争)の間の隙間を埋めるべくドクトリンの見直しが試みられている点である。陸軍レベルのこの動きは、将来の紛争のあり方を見越しての動きである。このレベルのドクトリンの改訂が実現した場合、その関連領域の概念への影響は否めず、包括的アプローチもまたしかりである。引き続き、モニター、検討していく必要がある。 聞き込み調査は本研究において重要であるが、論文や書籍、一次資料などの文献によって外交政策、防衛政策一般及び関連の事例研究について研究を進める作業も重要であり、継続して取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究がやや遅れていると評価した理由は、米国への出張、聞き込み調査が延期となったことと、国際情勢が流動的であり、それに伴うドクトリン改訂(英国)を始めとする動きが未だ流動的であるため、引き続きモニター、検討が必要であると判断されたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、米国への出張、聞き込み調査を実施し、また、英国、オランダについても昨年に明らかになった点(上記)の追加の聞き込み調査を行う予定である。 また、平成28年度は、研究の第二段階として、米、英、オランダの防衛関与政策を取り上げ、この政策に係る包括的アプローチの制度と実態を特に詳しく検証する。防衛関与政策の基盤文書は、通常は国家安全保障戦略などの政策文書、防衛ガイドラインなどの手続き文書などであり、これらの文書を入手し検討する。また、聞き取り調査によってそ れぞれの文書の位置付けや、より具体的な運用方法を検証する。 包括的アプローチが多層的な防衛関与には不可欠であるという認識に基づき、包括的アプローチが防衛関与においてどのような体制により、どのように適用されているか検証する。
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Causes of Carryover |
主な理由は、米国への出張が延期されたことによるが、その分、英国とオランダに再度出張しており、米国出張分全額ではないが差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の出張(特に米国)の支払いに当てる予定である。
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