2015 Fiscal Year Research-status Report
人の越境移動のグローバル・ガヴァナンスについての研究―EUアプローチを起点として
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15K03330
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡部 みどり 上智大学, 法学部, 教授 (80453603)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グローバル・ガヴァナンス / 人の国際移動 / EU研究 / 国際制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は概ね計画通りに研究を実行することができた。まず欧州では、同年7月に訪問したブリュッセルでEU閣僚理事会司法内務担当部局のパオロ・コッス氏と面会し、シリア難民の受け入れをめぐるEU加盟国の責任分担問題についての情報を収集した。同時に、コッス氏からEUが取るべき最良の難民問題解決方法について助言を求められたため、紛争解決担当部局(主に外務省)との密接な協力が不可欠であると提言した。また、ルクセンブルグでは、同国内にあるシェンゲン村にある、シェンゲン条約締結30周年を記念して同年5月に創設された資料館(European Museum Schengen)を訪れた。同地では、シェンゲン条約締結時の状況を示す多くの文書、映像資料等を入手することができた。 次に、同年5月から9月までワシントンDCに滞在し、ジョンズ・ホプキンス大学政治学部東アジア研究プログラムを統括するErin A. Chung准教授と面会し、アジアのマイグレーション研究とグローバルガバナンス研究についての今後の学界の動向等について意見交換した。また、ワシントンDCにあるウッドロー・ウィルソン研究所の客員研究員として滞在していた、サザン・メソジスト大学のJames F. Hollifield教授と再会し、今後の共同研究について協議した。このほか、ワシントンDC所在のシンクタンクや図書館においても情報収集をした。 以上を踏まえ、学会での報告と編著の出版という形で研究業績の成果を発表した。平成27年7月にパリで開かれたCouncil for European Studies2015年度研究大会において、パリ政治学院教授(当時)のAdrian Favell氏司会のセッションにおいて報告を行った。また、法律文化社より、『人の国際移動とEU-地域統合は「国境」をどのように変えるのか』という編著を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載の通り、計画時に予定していた内容をほぼ踏襲している。実現できなかったことは、ワシントンDCにて米国ヨーロッパ研究コンソーシアム(ACES)との接触が図れなかったということである。これは、代表者の現地滞在時期が夏休みの時期と重なり、ACESの研究者との面会がかなわなかったという事情による。また、編著(詳細は「研究実績の概要」に記載)の執筆を優先させたため、単著の刊行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度中に行う予定であった単著の執筆作業を優先的に行っていく。すでに東大出版会から出版する旨の取り決めを行っていることもあり、本年度中には刊行できるよう誠意努力する。また、共同研究の一環として、サザン・メソジスト大学のJames F. Hollifield教授を招へいし、平成28年10月、千葉で開かれる日本国際政治学会研究大会60周年記念部会での移民研究に関するセッション(研究代表者が司会をつとめる)に報告者として登壇いただくこととしている。このセッションを皮切りに、できれば著書あるいは共同論文を執筆することで成果を形にしたいと考えている。
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