2016 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム戦争期の日・ビルマ・米関係―戦後日本の国際秩序構想の特質
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15K03342
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉次 公介 立命館大学, 法学部, 教授 (40331178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本外交 / 日米関係 / 東南アジア外交 / ビルマ / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究事業の2年目を迎えた今年度は、引き続き、資料の収集を行った。国立国会図書館(東京)や外務省外交史料館(東京)、あるいは立命館大学図書館にて、日本の対東南アジア外交や、日米関係に関する資料を調査、複写した。外務省外交史料館では、今年度もいくつかの史料が新たに公開されたが、なかでも田中、三木、福田、中曽根らの各首相の外遊に関する記録の閲覧を行った。また、外交専門誌『外交フォーラム』に掲載されている外交官の回顧録等も、調査の対象に加えた。 資料調査と並行して、資料の分析も進めている。ベトナム戦争期の日米関係は、沖縄返還交渉に研究者の関心が集まる傾向にあり、沖縄返還以外の領域については、決して研究の蓄積は多くない。本研究では、沖縄返還だけでなく、1970年に安保条約が10年の期限を迎えた「70年安保」に注意を払いつつ、東南アジアをめぐる日米関係について考えたい。 今年度においては、研究成果としては、「池田勇人―『自由主義陣営の有力な一員』を目指して」(増田弘編『戦後日本首相の外交思想』ミネルヴァ書房、2016)を発表した。ビルマを東南アジア反共戦略上の重点地域と位置づけた池田政権期は、佐藤政権期の「前史」として重要な意味を有するのであり、ベトナム戦争期の日米ビルマ関係を検討するうえでも非常に重要であるといえる。池田政権期との比較の視点を交えつつ、ベトナム戦争期の日米ビルマ関係の検討を進めたい。 また、同時代史学会関西研究会にて、「日米安保体制史 1951‐2016」と題する研究報告を行った。そこでは、東南アジアにおける共産主義の拡大阻止が、戦後日米関係における重要な論点であったことを踏まえつつ、日米安保体制史について論じた。 なお、短期間ながら、アルバイトを雇用して、文献リスト作成などを依頼し、作業の効率化をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出張のための十分な日程を確保することができず、外交史料館や国立国会図書館での調査を十分に行うことができなかったため、その点ではやや問題が残った。しかし、これまで収集済みの外務省史料やアメリカ政府の外交文書、立命館大学所蔵の各種資料、インターネットやデータベースなどで一定の史料を入手することができたため、資料調査という点では、大きな問題は生じていない。 また、「日米安保体制史1951‐2016」と題する研究報告を同時代史学会関西研究会で行った機会などを通して、分析の枠組み、論理構成の方向性も定まりつつある。すなわち、ベトナム戦争期の日米関係において、日本の東南アジアに対する経済的支援が主要な課題だったが、池田政権に比べて佐藤政権はビルマを重視していなかったといえる。 よって、現時点において、本研究事業はおおむね順調に推移していると評価してよい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、東南アジア、とくにビルマをめぐる日米関係に関する資料調査・収集を継続する。また、すでに収集済みだが分析に入っていない資料群もあるため、従来よりも、分析に重点を移す必要があると認識している。とくに、今年度新たに入手した外務省外交史料館所蔵資料は、まだ概要を把握しているのみであり、詳細な分析を行う必要がある。立命館大学図書館に新たに収蔵された、佐藤栄作首相の秘書官だった楠田實の関係資料も、調査しなければならないと考えている。 また、ビルマなど東南アジアをめぐる日米関係を重要な要素とする日米安保体制史に関する単著を刊行するべく、原稿の執筆を進める。現在は、序論、結論、目次案の検討を進めているところである。原稿の執筆を進めるなかで、分析枠組み、構成が変わり、追加の調査の必要性がはっきりしてくるものと思われる。本研究事業は1960~70年代のベトナム戦争期を主な分析対象としているが、長いスパンのなかで当該時期の歴史を捉えるために、1950年代や、1980年代以降現在に至るまでの日米ビルマ(ミャンマー)関係、さらには冷戦史全般についての理解も深めていきたいと考えている。 なお、可能であれば、サンフランシスコ平和条約が調印されたオペラハウスなど、戦後日米ビルマ関係史の理解を促してくれる場所の視察や、アメリカでの資料調査も行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
①国立国会図書館や外務省外交史料館など、東京での資料調査の機会が予定よりも少なかったこと、そして②アルバイトに雇用した学生の都合で、予定よりもアルバイトの作業量が少なかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、資料調査のための出張旅費や、アルバイトの雇用による作業の効率化として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)