2015 Fiscal Year Research-status Report
移行期正義の概念的・制度的拡大―アチェとミンダナオにみる社会的・経済的正義とは
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15K03343
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
クロス 京子 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (40734645)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移行期正義 / 社会正義 / 土地問題 / 真実和解委員会 / ミンダナオ紛争 / 安全保障と女性 / イスラム法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、移行期正義の枠組みにおいて、社会的・経済的正義がいかに施策として志向されるのかを事例研究を通じて明らかにすることである。研究初年度の2015年度は、移行期正義研究における社会的・経済的正義に関する文献を収集し、整理・分析を中心に行った。 具体的には、2015年12月に来日したモロ・イスラム解放戦線の関係者に和平合意締結過程における女性の役割について聞き取り調査を行った。また、2016年3月にフィリピン大学を訪れ、ミンダナオ和平に関与したイスラム法の弁護士に聞き取り調査を行った。調査では、和平合意で設置が盛り込まれた真実和解委員会の活動状況についての情報を得た。ミンダナオ紛争では、先住民の土地問題が社会正義を実現するうえで大きな問題となっており、真実和解委員会の出す勧告をどのように実現するかが急務の課題である。併せてミンダナオ地域で司法の空洞化を埋めるうえで重要な、イスラム法に基づく裁判制度の整備についても調査を行った。アチェの事例では、自治政府のシャリアの厳格化が問題となっており、自治政府発足前の、住民のイスラム法廷への意識調査は大変意義がある。 研究の成果としては、社会的・経済的正義の導入も含めた、最新の移行期正義研究の動向と、ローカルと国際から成るハイブリッドな移行期正義の形成と普及過程について、2016年3月に単著にまとめ公刊した。また、シエラレオネの現地中心の移行期正義についてまとめ、現地と国際支援者間のギャップを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、初年度はアチェの事例研究とその事前準備に取り掛かる予定であったが、ミンダナオ紛争の関係者の来日があり、コンタクト先が確保できたために、先にミンダナオの事例に取り組み始めた。しかし、フィリピンの大統領選挙の影響で、自治政府を設置する基本法が議会で審議されないなど、事態の推移が滞ってしまった。よって、真実和解委員会の活動も後ろ倒しになり、調査が進まない結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、フィリピン大統領選挙後のミンダナオ和平プロセスを観察する。治安など総合的に判断したうえで、可能であるならば現地調査を行いたい。昨年度の研究を深め、年度末には論文にまとめる予定である。また、アチェの事例についても調査を開始する。具体的には、紛争後の女性の安全について活動しているNGOの関係者に、社会的・経済的状況の改善について調査協力を依頼する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、初年度にアチェの現地調査を複数回予定していた。しかし、授業や大学業務で多忙になり、予定していた現地調査ができず、初年度はフィリピン大学への短期現地調査になったため、現地調査として計上していた予算が未消化になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、昨年度に予定していた現地調査を行うとともに、フィリピン大学の研究カウンターパートを招聘し、小規模な国際ワークショップを開催する。
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Research Products
(2 results)