2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03349
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
外木 暁幸 一橋大学, 経済研究所, 特任講師 (20709688)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / POSデータ / 物価指数 / プロダクト・イノベーション / R&D |
Outline of Annual Research Achievements |
POSデータを用いた新旧商品交代の価格への影響については、物価指数の研究を進めた結果、2014年4月の消費税率の引き上げ後は加工食品・日用品の容量単価指数の伸び率は前年比プラス3%前後(消費税率の影響除く)に達したことが分かった。そのかなりの部分が新旧商品交代効果によるものであり、新規商品が容量単価でみて割高となる傾向が明らかになった。研究結果は東京大学のマクロ経済学ワークショップ、日本経済学会2015年度春大会、Annual Meeting of European Economic Associationで発表した。 また、同POSデータからFeenstra(1994)のCES効用関数による商品バラエティ効果を加味した生計費指数を計測したところ、消費税率改定以降の期間に伸び率がマイナスとなり、日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」に見られる物価実感とは逆方向の動きとなった。トルンクビスト指数に比べても容量単価指数のほうが物価実感に近い動きを取ることが明らかとなった。研究結果は日本経済学会2015年度秋大会で特別報告を行った他、日本経済学会が編集する『現代経済学の潮流2016』に掲載されることが決まった。 POSデータを用いて各々の財市場における、需要関数、供給関数を推計して需要ショック、供給ショックを計測する研究も進めた。継続商品に限定した場合、消費税率改定前の総需要ショックはほとんど検出できないが、新旧商品交代も含めた場合は大きな需要ショックが検出された。また、総供給ショックは2013年半ば頃に負になり、消費税率改定前の一時的な上昇を除き、その後負の値に留まっている。これは、当該期間に観察される価格上昇の、すくなくとも一部は供給曲線の内側へのシフトに起因することを意味する。研究結果はRIETIのワーキングペーパーとして公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
POSデータを用いた新旧商品交代の物価指数への影響、需要ショック、供給ショックへの影響の研究については著しい進展があった。R&Dの資本減耗率の研究「Empirical Research on Depreciation Rate of Business R&D Capital Stock」については、予定通り国際学術誌に投稿し、現在審査結果を待っている。POSデータを用いた因子分析の研究は、「Forecasting Inflation Rates with Large-scale POS data: A Penalized Regression Approach」として論文執筆を進めている。企業R&Dデータの個票を用いた研究はデータ整理・加工に時間がかかっており、実証研究の進展が遅れているが2016年度前半にも中間報告をまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Working Paperとして公表しているPOSデータを用いた新旧商品交代の物価指数への影響、需要ショック・供給ショックへの影響の研究についての2本の論文をより彫琢して国際経済学術誌への投稿をすすめる。また、企業R&Dデータの個票を用いた研究を進め、2016年度前半にも中間報告をまとめ、年度中には論文として完成させる。「Forecasting Inflation Rates with Large-scale POS data: A Penalized Regression Approach」についても共同研究者と協力して、2016 年度中に国際経済学術誌への投稿を行う。それらの研究成果とFact Findingを元に在庫投資の(S,s)Model を応用し、断続的な新規商品投入と旧商品特売の理論モデルの構築を進める予定である。
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Causes of Carryover |
R&Dのパネルデータについては、総務省『科学技術研究調査』の個票データを申請する予定であったが、東洋経済新報社の上場企業のR&Dデータを入手することができたため、先ずこちらを用いて実証研究を行うこととした。Workstation及び数値計算ソフトの購入については2016年度の在外研究が決まったため後ろだおしとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、総務省『科学技術研究調査』の個票データを申請して、データ整理のためにアルバイトを雇用する予定である。また、Workstation及び数値計算ソフトについても今後購入する予定である。
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