2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the Behaviors of Firm and Retailers Related to R&D and Product Turnover
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15K03349
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
外木 暁幸 東洋大学, 経済学部, 准教授 (20709688)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 物価指数 / POSデータ / 品質調整 / 研究開発 / 特許取得 |
Outline of Annual Research Achievements |
商品交代を伴う価格調整において,商品の品質(Quality)の計測は非常に重要である.価格指数を計測する際に品質向上分を無視して価格変化率を計測すれば,価格指数は物価を過大評価してしまうためである.我々は新商品が既存商品にたいして品質の改善がある場合,企業の研究開発活動があると仮定して,個別商品の価格とその商品のメーカーの研究開発活動の関係を実証研究することで,価格変動に占める品質の向上による寄与を考察するという研究を行った.具体的には小売店の販売記録(POSデータ)から,メーカーごとに新商品,旧商品,継続商品の価格を計測し,それをメーカーの特許取得数と研究開発費に回帰するという方法をとった.インテージ社のSRIデータ,知的財産研究所のIIPパテントデータベース,科学技術研究調査の研究開発費のデータを,企業名辞書とJANコードに含まれる企業情報を用いて突合し,データセットを作成した.メーカーの全商品,新商品,継続商品の価格変化率とそれぞれのカテゴリー物価に対する相対価格を計算し,被説明変数とした.分析の結果,新商品価格の旧商品価格に対する価格比については,研究開発活動との間に有意に正の相関がみられた.継続商品の価格変化率については,有意に負の相関がみられた.また,新商品の相対価格については,研究開発費が有意に押し上げる効果を示した.研究開発行動が品質の改善を通じて商品価格を押し上げているとの推察が得られた.研究結果は原・外木・外木「Impact of R&D Activities on Price Setting Behaviors with Product Turnover in POS Data」として,RIETIディスカッションペーパーとして,近く公表する予定である.
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