2016 Fiscal Year Research-status Report
戦略的委託の可能性を考慮に入れた公共財供給メカニズムの設計
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15K03361
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
篠原 隆介 法政大学, 比較経済研究所, 准教授 (40402094)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公共財 / 外部性 / 交渉 / 戦略的委託 / 補助金 / リンダール価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
ある地域が、その地域のみならず、他地域にも便益を波及させる公共プロジェクトを行う状況において、関連地域間の交渉が、公共プロジェクトの遂行に与える影響について分析した。本分析の応用例として、河川の上流地域が下流地域に汚染被害を与える状況において、上流域が汚染削減の投資を行うことなどが考えられる。各地域は、交渉前に代理人を任命し、交渉は、この代理人を通して行われる。本モデルを基礎として次の成果を得た。
1、先行研究では、各地域が代理人選定について戦略的な動機を持つことから、公共プロジェクトの実施水準は、地域間交渉の有無で、変化がないことを示している。本課題では、この先行研究のモデルを拡張し、公共プロジェクトの便益が他地域へ大きく波及する場合には、地域間交渉により、よりパレート効率な水準でプロジェクトを実施できることを明らかにした。本成果は、論文"One-sided provision of a public good through bargaining under representative democracy"としてApplied Economics Letters誌に受理された。
2、戦略的委託による非効率水準でのプロジェクト実施に対して、関連地域の上位政府(例えば、中央政府)が、プロジェクト実施地域に対してリンダール価格に基づく補助金を与え、かつ、代理人に、プロジェクト実施水準の決定に対して、適切な権限を与えることで、効率的にプロジェクトを実施できることを明らかにした。本成果は論文"Inducing self-representation in interregional bargaining over local public projects: Subsidy schemes with the Lindahl price"として学会報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、本年度は、戦略的委託が公共プロジェクトの実施水準に対して与える非効率性を解消する補助金政策について検証することができた。本件については、平成29年度も研究を継続する。初歩的な結果ではあるものの英文査読雑誌であるApplied Economics Letters誌に論文が受理もされている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、戦略的委託による非効率的な公共財供給を是正するための制度設計について考察する。本年度得られた成果は、国内外で行われる学会において報告し、様々な研究者からフィードバックを得る予定である。これにより、研究成果の改善を図る。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、国内での学会報告を優先したため、海外学会で研究報告することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、海外学会での成果報告を予定しているため、その旅費として利用する。
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Remarks |
本課題の研究成果の一部は、次のウェブサイトから閲覧可能です。 http://ryusukeshinohara.ehoh.net/profilej.html
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Research Products
(5 results)