2015 Fiscal Year Research-status Report
ジェイコブ・ヴァイナーの経済思想―「中庸」の“リベラリスト”
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15K03378
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 雄一 日本大学, 商学部, 准教授 (80436740)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヴァイナー / 国際経済 / 貿易 / 中庸 / 貿易転換効果 / 貿易創出効果 / 価格理論 / シカゴ学派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ジェイコブ・ヴァイナーに関する資料収集・理論および思想研究を中心に行った。具体的には「ヴァイナーと価格理論-現代経済学における遺産」「ヴァイナーと国際経済学-貿易転換効果・貿易創出効果」の各テーマを研究した。具体的には以下の通りである。 1.物品・資料収集・購入 本研究を遂行するために必要不可欠である文房具、ハードウエア、ヴァイナー・シカゴ学派・LSE・ケンブリッジ・経済学史・現代経済学・経済理論・経済政策の研究書・論文集等の購入、ならびに当該研究に関する重要文献において日本大学商学部図書館経由による文献収集を行った。 2.研究会発表 2016年2月28日に第2回現代経済理論研究会(金沢大学・角間キャンパス・石川県金沢市)で「J. ヴァイナーと国際貿易」という研究論文を報告した。本研究会での質疑応答を受けて、当該論文を可能な限り改訂し、次年度中に学術雑誌に投稿する予定である。 3.ケンブリッジ大学・LSE出張 2015年9月7日~11日にケンブリッジ大学キングズカレッジ図書館及びLSE図書館へ資料収集・調査のため出張した。ケインズ文書、カルドア文書、ジョーン・ロビンソン文書を閲覧することで、ヴァイナーがイギリスの経済学者とどのような形で知的交流をなしたか、ヴァイナーが国際経済学を考察するうえでどのような点について、かつイギリスの経済学者と相いれなかったのかあるいは協働できたのかについて、調査した。なお、複写は認められていないため、未発表論文の草稿をパソコンに写本した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当該研究遂行にかかる初年次であるが、研究設備の準備や内外の研究資料の収集を中心として、国際貿易と価格理論に関する研究資料のサーベイ・プロシーディングの作成(「J.ヴァイナーと国際貿易」)およびそのプロシーディングをもとにした研究会での報告については一定の研究成果を出すことはできた。しかしながら、昨今の国際状勢悪化による影響や、海外出張の時期の調整や他の研究課題との調整が上手くつかなかったことから、ヨーロッパやアメリカなどの海外への図書館の一次資料収集について、一部、予定した通りに遂行できなかった。当該研究にかかる得られた資料に制限が生じたことに伴い、作成した研究成果を推敲・改訂し、学術雑誌に投稿するために必要な研究時間についての次年度への先送りがやむを得ない状況になった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年の研究会の報告で指摘を受けたコメントおよび数多くの先行研究の再チェックを行うことで、また昨年度遂行できなかった海外調査を国際情勢を鑑みて行うことで、「J.ヴァイナーと国際貿易」に関する研究成果をいっそう改善し、すみやかに学術雑誌へ投稿する予定である。また日本語の研究論文ではなく英語での研究論文としてもまとめて、本年度もしくは次年度に国際学会で報告できる水準の原稿を作成する予定である。そして、理論面ばかりでなく政策面の研究課題である「ヴァイナーとブレトンウッズ体制」「ヴァイナーにおける「摂理」と経済思想」に軸を移して、ヴァイナーの政策思想の研究に力を入れる予定である。引き続き不安定な状況が続く世界的な国際状勢を鑑みて、内外の文献については、国内の図書館経由で入手できるものについては請求・取り寄せし、可能な限り、海外の図書館に直接一次資料を収集して、当該研究課題を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
・ヨーロッパやアメリカなどの海外への図書館の一次資料収集が一部予定したとおりに遂行できなかったため、物品費・旅費の費目に次年度使用額が生じた。なぜ一次資料の収集が一部予定した通り遂行できなかったかについては、次の(1)(2)の理由による。(1)昨今の国際状勢悪化による影響、(2)(1)に伴う海外出張時期・期間の変更によって本研究課題と他の研究課題との調整が上手くつかなかったこと、である。 ・英文校正業者に校正の依頼をかける時期が次年度にずれたため、その他の費目に次年度使用額が生じた。具体的には、研究会で報告した「ヴァイナーと国際貿易」に関する原稿について、予定していた一次資料をもとに日本語および英文での研究論文を執筆する予定であったが、出張時期にうまく折り合いをつけることができなかったこともあって、英文論文の執筆が遅れたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、国際情勢を鑑みて、一次資料を有する海外の図書館に足を運ぶ予定である。ただしそれが困難な状況であれば、国内の図書館を経由して入手できる資料については、請求・調達して、研究論文を投稿できるレベルのものに改善する予定である。また、英文での研究論文を執筆する予定であるため、英文での研究論文がまとまりしだい、英文校正業者に校正の依頼をかける予定である。
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