2015 Fiscal Year Research-status Report
シュンペーター的景気循環論の理論的・統計的および制度論的再構築
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15K03380
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
瀬尾 崇 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (60579613)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ネオ・シュンペーター学派 / 国民的イノベーション・システム / 知識の再生産 / 知識資本主義 / シュンペーター / シュピートホフ / 景気循環 / シュンペーター仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,これまでの研究代表者の関連業績を,ネオ・シュンペーター学派の最近の研究成果を踏まえて発展させる理論研究を中心におこなった。主な成果は,①シュピートホフとシュンペーターの景気循環論の比較検討を通じたオリジナルな視点の導出,②J. S. MetcalfeのRestless Capitalism論の意義に関する考察,という2つの具体的課題に関するものである。①の成果として,これまでの関連業績を発展させ,シュピートホフの景気理論を宇野弘蔵の恐慌論との比較において検討した(「シュピートホフ景気理論と宇野恐慌論」『金沢大学経済論集』第36巻第1号,2015年12月)。②の成果としては,Restless Capitalism論をより具体的かつ理論的に発展させることを目的として,資本主義的再生産過程における知識の再生産について,また,National Innovation System論およびいわゆるシュンペーター仮説とRestless Capitalism論との関連づけについて考察した。これは経済理論学会第64回大会(2015年11月21-22日,一橋大学)で口頭報告をおこない(論題:「現代資本主義における知識の再生産過程」),そこでの議論・コメントを踏まえて2016年2月に所属機関のDiscussion Paper No. 27(Title: Schumpeterian Innovation System in Knowledge Capitalism)として公表し,さらに2016年2月15-16日に富山大学で開催されたInternational Seminar on Political Economyにおいて口頭報告をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
追加採択決定が2015年10月下旬であったため,新たな研究成果のアウトプットが,Discussion Paperの段階にとどまってしまった。これに関しては,次年度の前半で査読付き英文ジャーナルへの投稿を完了させたい。また,シュンペーターの未刊行の論考Treatise on Moneyの文献研究を踏まえたシュンペーター景気循環論の再検討に関しては,現在,文献研究のサーベイを済ませた段階にあり,次年度(2016年5月Call for Papers締め切り)のEuropean Association for Evolutionary Political EconomyのAnnual Conferenceで口頭報告するためのproceedingをまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画にしたがって,今後の研究を遂行する。さらに前年度から持ち越した英文ジャーナルへの投稿および国際学会での口頭報告(2016年7月6-8日カナダ・モントリオールで開催されるInternational Joseph A. Schumpeter SocietyのAnnual Conferenceに口頭報告を応募し,すでに採択が決定されている)を終える。
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Causes of Carryover |
追加採択決定が2015年10月21日だったため,当初予定していた国際学会での研究発表がかなわなかった(すでにCall for Papersがdeadlineを過ぎていたため)。そのため「旅費」が予定より大幅に少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年7月6-8日にカナダ・モントリオールで開催されるInternational Joseph A. Schumpeter Society (ISS)での研究発表がすでに採択されたため,予定どおり旅費を使用する。また,学会開催地の都合上,ハーバード大学図書館のシュンペーター文庫の文献調査も可能であればおこないたい(現在検討中)。
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Research Products
(5 results)