2015 Fiscal Year Research-status Report
20世紀アメリカ経済思想における自由社会構想の系譜
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15K03388
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
佐藤 方宣 関西大学, 経済学部, 准教授 (90286609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自由主義 / アメリカ / 経済思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画で平成27年度に予定していた通り、本研究計画の目的である「20世紀アメリカ経済思想における自由社会構想の系譜」の検討のために、(1)J.M.クラークを中心にアメリカ制度派の自由主義構想を検討し、(2)ナイトとハイエクにおける市場経済評価と自由社会構想との内的関連の検討を進めた。 具体的には(1)と(2)に関する基礎的文献・資料の検討として、20世紀アメリカにおけるリベラル批判の代表的論者とされるナイトやハイエクらの、1930年代から1960年代にかけての「自由」「社会正義」をめぐる関連テキストを「自由主義の変容」という同時代文脈をふまえて思想史的検討を行った。また並行して上記のテキスト群の現代的意義を明らかにする作業として、現代の自由主義・民主主義をめぐる英語圏の規範的な政治哲学的文献の渉猟と検討を進めた。 こうした経済思想史的な検討作業を通じて、本研究計画における「リベラルとしての制度派の台頭」とそれに対するナイトとハイエクの批判という問題設定の意義について分析を進め、とりわけ前者とプラグマティズムとの思想的関係性について認識を深めることが出来、さらに後者におけるナイトとハイエクのプラグマティズム評価の相違点を明確にすることが出来た。これは20世紀アメリカ経済思想におけるリベラル派とリベラル批判の思想的内容とその対立の構図の思想史的理解の深化の進展を意味するものである。本研究計画の目的と意義に照らしたとき、平成27年度において一定の成果を挙げることが出来たと主張しうるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画は、平成27年度については、当初の計画よりはやや遅れていると評価している。 先に「研究実績の概要」欄で記したとおり、平成27年度においては研究計画で当初から予定していた「20世紀アメリカ経済思想における自由主義構想」の主要対象についての基礎的文献・資料の検討については計画通り研究を進めることが出来、先に記したとおり20世紀アメリカ経済思想におけるリベラル派とリベラル批判の思想的内容とその対立の構図の思想史的理解について、一定の成果を得ることが出来た。 ただし残念ながら、当初の計画に照らして順調に進展しているとまでは主張しえない。当初の研究計画における「研究方法と成果報告」の主要課題としては、(1)国際学会(アメリカのHistory of Economics Society,ヨーロッパのEuropean Society for History of Economic Thoughtなどの主要な経済思想史系学会を予定)における研究報告と、(2)領域横断的な研究交流の拠点としての「現代経済思想研究会」の開催を通じた研究課題の学際的な検討を考えていたが、研究代表者の所属学部での役職に関わる業務負担の増加にともない、研究目的の実現に向けた十分な取り組みが欠ける点が生じてしまった。とくに(1)については平成27年度での参加を見送らざるを得なかった点は、本研究計画の進展にとって遅延をもたらすものと言わざるを得ないだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度については、平成27年度の研究内容を発展的に継承し、また十分に取り組みえなかった課題もふまえて、(1)J.M.クラークを中心にアメリカ制度派の自由主義構想を検討し、(2)ナイトとハイエクにおける市場経済評価と自由社会構想との内的関連の検討、(3)(1)と(2)をふまえた20世紀アメリカにおける自由社会構想の系譜におけるそれぞれの歴史的・現代的含意の明確化を進めていくこととする。 とりわけ具体的には、引き続き本研究計画を通じてもっとも大きな課題の一つである、学術論文の国際雑誌への投稿、ならびに領域横断的な研究交流の拠点としての「現代経済思想研究会」の開催を通じた研究課題の学際的な検討を進めることとしたい。またナイトの自由主義論の現代的含意を検討する作業の一環として、現代の規範的政治哲学の出発点でもあるジョン・ロールズにナイトが与えた影響についての論考の執筆を進めることとする。
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Causes of Carryover |
研究計画では予定していた国際学会での報告(アメリカのHistory of Economics Society,ヨーロッパのEuropean Society for History of Economic Thoughtなどを予定)が実現できず、そのための費用の支出が不要となった。また本研究計画にかかわる領域横断的な研究交流の拠点である「現代経済思想研究会」に関する交通費支出等が不要となった。以上が主たる理由となり、研究費の支出の一部を次年度に廻すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経済思想の歴史的研究という本研究計画の趣旨から、思想史的研究の中心となる書籍・論文(テーマに関連する経済思想・倫理学・政治哲学関連書籍)の購入費として、500,000円の使用を予定している。また文具およびパソコン周辺消耗品として50,000円の使用を計画している。また現代経済思想研究会などの国内出張のほか、国際セミナー・資料調査のための海外出張のための旅費550,000円を計画している。さらに国際学術誌への投稿論文作成のための英文校正費として80,000円の支出を、現代経済思想研究会における講師招聘のための費用として100,000円の支出を計画している。また資料複写費として45,000円の支出を計画している。
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Research Products
(1 results)