2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Genealogy of concepts of Liberal Society in the 20th century American economic thought
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15K03388
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
佐藤 方宣 関西大学, 経済学部, 教授 (90286609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経済思想 / 自由主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には、平成27年度、平成28年度の研究内容を発展的に継承するかたちで、ナイトにおける市場経済評価と自由社会構想との内的関連について、20世紀アメリカのリベラルの代表的人物であるロールズとの思想的な影響関係に焦点をあてるなかで検討を進め、20世紀アメリカにおける自由社会構想の系譜におけるその歴史的・現代的含意の明確化を進めた。 具体的には、本研究プロジェクトを通じて重要な問題として浮上した、従来はそれぞれ異なるタイプの自由主義に与するとされてきたナイトとロールズの知的影響関係という、20世紀アメリカにおける自由社会構想の系譜を考えるうえで重要な論点について、市場経済の規範的評価の内実やその背景にある自由や討議をめぐる考察の共通点や相違の詳細について検討を進めた。こうした検討作業と昨年度の研究報告などを踏まえて下記の論考をまとめた。 ・佐藤方宣「ロールズと経済学史――『正義論』へのナイトの影響が意味するもの」『ロールズを読む』井上彰編、ナカニシヤ出版、2018年7月刊行予定、第10章、251-271頁。 これまでの一連の研究を通じて、20世紀アメリカにおける自由社会構想の系譜について、従来の理解とは異なる観点を提示することが出来た。とりわけ、市場経済の規範的な評価や実質的な自由の重視という観点からナイトらの思想を再検討するなかで、皮相的な「保守かリベラルか」といった対比とは異なるかたちで20世紀アメリカにおける自由社会構想について捉える視点を明確化できた点は、本研究独自の成果と主張しうるだろう。
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Research Products
(1 results)