2015 Fiscal Year Research-status Report
戦時・占領期日本における経済学者の社会的活動-「荒木光太郎文書」の分析より
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15K03389
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
牧野 邦昭 摂南大学, 経済学部, 准教授 (20582472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 聡 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90456583)
恒木 健太郎 専修大学, 経済学部, 講師 (30456769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 荒木光太郎 / 荒木光太郎文書 / 世界経済調査会 / 戦時生活相談所 / 革新官僚 / 戦時経済 / 経済学の制度化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、「荒木光太郎文書」の電子化を順次進めた。今年度は所蔵機関である名古屋大学の予算でも電子化を同時に進めることとなったため、『荒木光太郎文書解説目録』掲載済みの資料についてはすべて電子化を完了した。また、開架書架中に紛れていた荒木光太郎旧蔵図書の点検も進め、「荒木光太郎文書」にさらに約100点の資料を加えることができた。 2、近畿大学中央図書館の荒木光太郎旧蔵和書の点検を行なった。この資料群と名古屋大学所蔵図書との蔵書ラベルを比較したところ、同一形式のものが複数発見され、さらに多くの荒木光太郎旧蔵図書が名古屋大学に所蔵されていることも確認された。また荒木光太郎の門下生であった細野孝一の旧蔵資料「細野文書」(関東学院大学図書館所蔵)の調査を実施し、その保存状況等を確認した。 3、「荒木光太郎文書」に含まれる資料を中心に用いて世界経済調査会およびその前身である日本経済連盟会対外委員会について調査を進めた。また荒木光太郎らが関与した戦時生活相談所と財政金融協会についての調査を進めた。以上の成果を専修大学社会科学研究所にて報告し、研究協力者や外部研究者を交えて議論を行った。 4、『日本歴史』に連載されている「近現代史の人物史料情報」向けに、荒木光太郎および「荒木光太郎文書」の解説を執筆した(掲載時期未定)。 5、内閣府の事業「日本の魅力発信に資する書籍の翻訳出版事業」により、筒井清忠編『昭和史講義』(ちくま新書)がFifteen Lectures on Showa Japan: Road to the Pacific War in Recent Histriography.( Japan Publishing Industry Foundation for Culture, 2016)として英訳刊行され同書中の「荒木光太郎文書」紹介も英訳されたため、訳文のチェックを行い一部情報を追加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では本研究の主要な活動である「荒木光太郎文書」の資料撮影と電子化は平成28年度までかかる予定であったが、電子化を予想以上に進めることができた。その他の研究活動に関しても進んでおり、研究分担者による成果の報告を既述のように平成27年度末に実施し、また平成28年度においても成果報告が行なわれることが確定している(「今後の研究の推進方策」参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
1、名古屋大学所蔵の荒木光太郎旧蔵図書の再発掘を更に進め、発見されたものから順次撮影・電子化する。昨年度に資料撮影が予想以上に進んだため、今年度は、関連資料の購入・分析や資料のインターネット公開にも力を注ぎたい。 2、世界経済調査会および日本経済連盟会対外委員会についての研究報告を東京大学「経済史研究会」にて実施するとともに(招待講演)、その内容を論文として公表する。 3、通貨制度研究会・金融学会・調査研究動員本部・大蔵省の各種委員会などで荒木光太郎と密接な関係にあった石橋湛山の戦前・戦時期における活動についての「荒木光太郎文書」中の資料を用いた研究報告を経済学史学会全国大会(東北大学)で行う(共通論題・招待講演)。論文化は経済学史学会での共同研究の進捗状況に従って進める。 4、近畿大学中央図書館には未発見の荒木光太郎旧蔵和書がかなりあると推測されるため、引き続き調査を進めていく。また、関東学院大学所蔵「細野文書」など、他の経済学者関連文書の調査も継続する。 5、荒木光太郎がドイツ及びオーストリアに留学しており、オーストリア学派の経済学者と交流を持ったりナチス期の日独文化交流において活躍したことを踏まえ、ドイツとオーストリアにおいて荒木光太郎およびその周辺の人物に関する調査を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、研究協力者への研究打ち合わせのための旅費支払いを準備していたものの、一部の研究協力者が旅費の受け取りを辞退したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者には科研費より旅費が支払われるため受け取ることを改めて要請しており、引き続き研究協力者への旅費として支出する。また余裕が生じた場合は、研究協力者の同意を得て物品費や研究代表者・研究分担者の旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)