2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03396
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
末石 直也 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40596251)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安道 知寛 慶應義塾大学, その他の研究科, 准教授 (40407135) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高次元データ / 罰則付き推定 / 経験尤度法 / 情報量規準 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、様々な分野において、サンプルサイズと比較して変数の次元が大きい高次元データと呼ばれるデータが入手可能になり、その分析方法に関する研究が盛んに行われている。高次元データの分析においては、候補となる膨大な変数の中から適切な変数だけを選びとる変数選択が重要な課題である。 本研究では、モーメント制約モデルにおける変数選択の方法として、罰則付き経験尤度(PEL; penalized empirical likelihood) 推定量を提案する。罰則付きの推定量はLASSO以降数多く提案されているが、その利点は変数選択と推定を同時に行うことが可能である点にある。PEL推定量についても、既にいくつかの先行研究で考察されているが、本研究の新しい点は、モデルの定式化の誤りを許容する点にある。有限次元モデルを真の無限次元モデルの近似と考えて、近似モデルの推定量の性質を考察する。 本研究の第一の貢献として、PEL推定量の漸近的な性質を明らかにした。モデルの定式化が誤っている場合には「真の」パラメータは存在しないので、代わりに擬似真値を推定対象とする。推定量の擬似真値への収束レートを求めるとともに、変数選択の一致性、つまり、漸近的に適切な変数のみを選択することができることを示した。また、オラクル性と呼ばれる望ましい性質を持つことも示した。 次に、第二の貢献として、罰則の度合いをコントロールするチューニング・パラメータの選択方法を提案した。推定量の漸近的な性質を考察する際には、チューニング・パラメータは適当なオーダーで0に収束することが仮定されるが、実際に推定を行う際には分析者がそのサイズを決める必要がある。本研究では、Konishi and Kitagawa (1996) のアイデアを基にして、チューニング・パラメータ選択のための情報量規準を導出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理論的な結果を、当初予定していたよりもさらに一般的なケースへと拡張することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
変数選択の分野において、AICタイプの情報量規準は漸近効率性と呼ばれる望ましい性質を持つことが知られている。Zhang, Li and Tsai (2010) はあるクラスの罰則付きOLS 推定量について、AICタイプの情報量規準によってチューニング・パラメータを選択すると、漸近効率性が満たされることを示している。そこで、本研究の情報量規準についても、同様の性質が満たされるかどうかを考察する。
|
Causes of Carryover |
大学院生にプログラミング等の研究補助を依頼する予定であったが、論文の共著者がその役割を担ってくれたため、謝金の支出がなくなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加費等に当てる予定。
|