2015 Fiscal Year Research-status Report
高頻度データを用いた下方リスクの測定とリスクマネジメントへの応用研究
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15K03397
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
生方 雅人 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00467507)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高頻度データ / 下方リスク / ジャンプリスク / リスクマネジメント / ヘッジ / 分散リスクプレミアム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度では研究テーマである「高頻度データを用いた下方リスクの測定とリスクマネジメントへの応用研究」の一環として、高頻度データから算出したリスク指標に加え、資産価格収益率が歪んだ分布に従う場合の時系列モデルを構築し、バリュー・アット・リスク(以下、VaRとする) や期待ショートフォール(以下、ESとする)に代表される下方リスクを最小にするような先物取引によるヘッジ比率を推定する方法を提案した。ヘッジポートフォリオの分散を最小にするヘッジ比率を推定する方法は古くからおこなわれており、近年では高頻度データを活用する研究もみられるが、実際の資産価格収益率で観測される分布の歪みを想定した場合には、対称なリスク指標である分散やボラティリティを最小にするヘッジ戦略より、VaRやESを最小にするようなヘッジ戦略を考えることは自然であると思われる。 日経225株価指数をその先物でヘッジした場合の実証分析おいて、現在までの分析結果によると、第一に、期間を通じて値が一定と仮定してリスク変数を用いた場合のESを最小にするヘッジポートフォリオに比べて、その仮定を緩めてリスク変数の変動を許容した最小ESヘッジポートフォリオはパフォーマンスが良いという結果が得られた。第二に、後者のヘッジポートフォリオは分散を最小にするヘッジポートフォリオに比べて下方リスクを小さくする。第三に、高頻度データから推定されるリスク変数を導入することでヘッジパフォーマンスが向上する可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究内容はワークショップや研究会で発表をおこない、現在論文としてまとめている。また、平成28年度で新たにおこなう関連研究については必要なデータや設備はおおむね準備ができたところであり、着実に研究が進んでいる。こうした状況を踏まえて、交付申請時の研究実施計画からの大きな遅れはないといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度からおこなっている研究については論文を執筆し、査読付き論文誌に投稿する予定である。また、平成28年度から始めている研究は、資産価格の分散が変動することに起因するリスクプレミアムとして近年注目を集めている分散リスクプレミアムについてである。具体的には、分散リスクプレミアムを下方リスクやジャンプリスク要素に分解し、日本の資産価格分析に応用するものである。日本ではあまりそうした研究はほとんど見られないが、重要な研究の1つとして慎重におこなっていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じている主要な理由として、今年度に購入予定であったデータ解析に用いるパソコンを既存の設備で代替することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度で使用していた既存のパソコンの消耗により、平成28年度にその代替として平成27年度で購入予定であったパソコンを導入する。また、平成28年度分として請求した助成金については、当初予定していた通りに平成28年度から開始した新しい研究のための必要なデータや文献、研究活動に使用する。
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Research Products
(4 results)