2017 Fiscal Year Research-status Report
サービス価格等の地域差を考慮した地域間生産性格差再考
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15K03423
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
徳井 丞次 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (90192658)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域経済学 / 地域間価格差 / 地域間生産性格差 / 絶対的購買力平価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、都道府県間の産業別生産性格差の計測をより精緻化するため、都道府県間のサービス価格差を測定し、それを考慮に入れた生産性格差の再推計を行うことである。同時に、測定された都道府県間サービス価格差について、1人当たり生産性との相関の有無や、サービス産業内の産業別分解によってより掘り下げて分析することである。まず「小売物価統計調査」から、広義のサービス業に該当する品目別価格原データを1955年から最近年までの毎年データ入力した。さらに、このデータを使って5年ごとにRao and Tinner(2000)らCountry-Product-Dummy Methodによってサービス産業内の各産業分野別に都道府県間サービス価格差を推計した。この手法は国際経済学の分野において絶対的購買力平価を推計するために開発されたものであるが、品目によっては一部の地域でデータが欠落しているなどの場合にも適用することが可能で、今回のデータの利用状況に適した手法であると考え採用した。推計された都道府県間サービス価格差を考慮して地域間生産性格差分析を改めて行ったところ、再計算の結果、2009年では地域間TFP格差指数の標準偏差が0.079から0.069へと約13パーセント縮小した。また、新旧の地域間生産性格差分析の副産物として地域間物価水準格差指数を求めることができる。これを使って、国際経済間で成立するバラッサ・サミュエルソン効果と類似の関係が、日本の地域経済間でも成り立つかどうかを検証し、地域間の労働生産性格差と物価水準格差の間に有意な正の相関が観察されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サービス分野の品目別価格データを使ってサービス産業内の各産業分野別に都道府県間サービス価格差を推計し、これを考慮して地域間生産性分析を行うことができた。また、その分析の副産物として地域間物価水準格差指数を導出することができることを示し、これを使って、日本の地域経済間において地域間の労働生産性格差と物価水準格差の間に有意な正の相関が観察されること確認した。こうした結果を得て論文を作成し研究会等で報告を行い、この研究成果を和文ディスカッションペーパーに纏めた。さらに英語論文の作成に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、和文ディスカッションペーパーとして纏めた研究成果から英語論文を作成し学会発表等を行うことを予定している。現在既に報告することが決まっているのは、今年6月初旬に米国ハーバード大学で開催されるThe Fifth World KLEMS Conferenceと、7月初旬に韓国ソウル大学で開催されるThe 12th Asia-Pacific Productivity Conferenceの2つである。併せて、英語論文を専門雑誌に投稿したい。また、これまでの研究報告等を通じて見つかった新たな研究課題(中間投入の価格差の考慮に関する論点)については、別の研究課題として引き続き研究を進めていくことを計画している。
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Causes of Carryover |
本研究成果の報告を、平成30年6月初旬の米国ハーバード大学で開催されるThe Fifth World KLEMS Conferenceと、同年7月初旬に韓国ソウル大学で開催されるTHe 12 Asia-Pacific Productivity Conferenceで行うことが決まり、そのための海外渡航旅費を確保するために相当額を次年度に繰り越した。
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Research Products
(2 results)