2015 Fiscal Year Research-status Report
開放経済下における環境産業の理論分析: 環境保護に関する消費者の異質性を踏まえて
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15K03440
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
杉山 泰之 福井県立大学, 経済学部, 准教授 (00533605)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Environmental Industry / Recycling / Joint Venture / Trade / Green Consumer |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は環境保護に資する財・サービス(EGS)の国際的普及と、それらを供給する環境産業の拡大の観点から、経済発展と環境保護の両立という課題について分析することを目的としている。具体的には、下記の1、2について研究を進めていく。1:製品リサイクル率を内生化したモデルを構築し、リサイクルを促進する政策やリサイクル材料の貿易自由化が総排出量や経済厚生に及ぼす影響を分析する。2:日本企業が中国などにおいてリサイクル事業を行う合弁会社を設立していることを踏まえて、リサイクル事業での国際合弁会社の形成が環境や経済厚生に及ぼす影響などを分析する。また、最終的には若手(B)の研究課題も含め、研究の成果を体系的にまとめることも目的としている。
まず1について、平成27年度は“Environmental R&D, Monopoly Recycling Markets, and Recycled Content Standards”を作成した。本論文は現在、査読誌に投稿中である。一方、2についても、リサイクル事業での国際合弁会社の形成が環境や南の経済厚生に及ぼす影響などを分析した論文を作成中である。
なお、投稿中のまま若手(B)の研究期間を終えてしまった“Envirnmental Goods and Measures for Their Promotion: An Analysis Using a Fair Wage Mmodel”が、Pacific Economic Reviewから掲載を許可された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文の作成自体は着実に行うことができている。しかしながら、当初予定していた消費者の異質性やリサイクル企業と最終財企業が同一企業である場合の内部組織の問題を含む形での分析は、ベースとなる論文を作成したものの、まだ不十分である。また、リサイクル材や環境財の貿易に関する議論も残されている。この点を踏まえて、やや遅れているを選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況を踏まえて、平成28年度はまずリサイクル事業の合弁会社に関する論文をまとめ研究報告を行う。それと同時に、消費者の異質性やリサイクル企業と最終財企業が同一企業である場合の内部組織の問題を含む形での分析に着手する。
分析が上手くいかない場合は、リサイクル産業ではなく、排出削減タイプの環境産業の下で企業の内部組織の問題等が分析可能かどうかを検討する。なお、これらの議論の中でリサイクル材や環境財の貿易を取り入れる際は、一旦、最終財のみ貿易が行われているケースを分析をした上で、リサイクル材や環境財の貿易を含む形で拡張するなど、一歩ずつ段階を踏んで国内経済に及ぼす影響の違いを明らかにしつつ、分析を進めていくことにしたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた主な理由は、1:購入を予定していたノートパソコンのOSのバージョンが新しくなっていることから、使用するソフトとの関係が心配になり、購入を差し控えたこと。2:論文の作成を中心に進めたため、海外での研究発表を行わなかったことがあげられる。1については、海外での研究報告も予定していることから、移動時間の有効活用のために、場合によってはOSのバージョンを落とすなどの形で、本年度中にノートパソコンを購入する計画である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、ノートパソコンの購入に加え、1:国内外の学会や研究会への参加と研究報告、2:本研究に関連する経済学分野の図書、海外の研究叢書や学内では購入していない専門誌に掲載された論文のPDFの購入、3:新たに作成した論文の英文校閲などに、研究費の使用を予定している。
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Research Products
(3 results)