2019 Fiscal Year Annual Research Report
High Performance Work System and JApanese Firms
Project/Area Number |
15K03443
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野田 知彦 大阪府立大学, 経済学研究科, 教授 (30258321)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 参加型雇用システム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、日本企業の参加型システムについて1本の英語論文を海外ジャーナルに掲載した。従業員の参加型のシステムの研究で言及されるところのHigh Performance Work Systemにおいては、従業員が企業の生産性向上に協力する際には、経営により強い雇用保障の提供がなされることが必要不可欠である。なぜなら、従業員の協力によって生産性が向上した結果、企業の効率化、合理化がすすみ、余剰人員の解雇が発生すれば、従業員にとって生産性協力したことのでメリットがまったくなくなるからである。この論点を実証すべく、経営への信頼(雇用を守るという)を説明変数に、また、従業員の生産性向上の努力と雇用保障に関する満足度を被説明変数にして実証分析を行った。つまり、経営者に対する信頼が形成されている下で、従業員の生産性向上の努力と経営の雇用保障の贈与交換が成立しているかどうかを実証的に検討した。 日本の自動車産業のデータを使用して、経営者への信頼の内生性を考慮に入れながら分析を行った結果、経営者への信頼は従業員の生産性向上の努力とプラスの関連があると同時に、雇用保障の満足度にもプラスの関連があった。ここから導き出されるインプリケーションは、日本の自動車産業の生産性の高さや、国際競争力の高さの背景には、従業員の経営に対する幅広い信頼が存在しているということである。 また、労使間の経営に関する情報の共有が経営者、労働組合、従業員の3者の間の情報の非対称性を埋めることによって、経営への信頼を高めていることも明らかにされた。
|