2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03450
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
倉田 洋 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (60411245)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サービス産業 / 企業立地 / 費用格差 / 経済厚生 / 文化財・サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 費用が異なる2地域への企業立地の効率性 非貿易財産業における、地域固有の費用が異なる2地域への企業立地の効率性に関する論文を作成した。本研究は、差別化がある場合の分析のベンチマークとなるものである。寡占の非貿易財産業において、生産に関わる限界費用が異なるケース、立地に関わる固定費用が異なるケース、両方の費用が異なるケースの3つについて、経済厚生を最大にするという意味で効率的か、そうでなければ過剰か、過少かについて確認した。分析の結果、限界費用がともに高い地域に過剰に、低い地域に過少に企業が立地する可能性があることが示された。本研究成果は海外査読誌へ投稿・審査中である。 2.垂直的産業での産業立地と経済厚生 中間財・最終財部門で企業が立地を決定する南北貿易モデルを用いて、垂直的産業における産業立地および経済厚生に関する論文を作成した。当初、最終財部門、中間財部門ともに先進国に存在する状態を想定し、財の輸送費用の低下を考える場合、ある水準で組み立てが中心である最終財部門は途上国に移動し、高度な技術が必要となる中間財部門もそれに伴って移動する。さらに輸送費用が低下すると、中間財部門の一部が先進国に移る。これは生産の国内回帰を描写しているものと考えられる。本研究成果は複数の国際学会で報告され、現在海外査読誌への投稿準備中である。 3.文化財・サービスの性質を踏まえた東北地方への外国人観光客誘致 派生的研究として、東北地方への外国人観光客誘致に対する政策について提案する論文を作成した。消費(経験)により財・サービスの良さを知ることができる、多くの消費(経験)の機会を持つことで財・サービスを好むようになるという文化財・サービスの性質から、経験を重視した取り組みを行うこと、企業の海外進出(貿易・直接投資)を積極的に進めることを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究計画」で示した(1)サービスの差別化がある場合の企業立地と政策,(2)垂直的サービス産業における企業立地と政策,(3)長期的なサービスが行われる場合の企業立地と政策のうち、2015年度は主にテーマ(1), (2)に関連する研究を行った。研究成果のうち、1本は海外査読誌に投稿・審査中であり、1本は投稿へ向けて準備中である。また、関連した派生的な研究成果を国内雑誌に掲載している。また、全てのテーマについて、モデルの構築、予備的な計算に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施した研究成果の海外学術誌への掲載を目指すとともに、関連したテーマについてさらに研究を進める。 今年度以降実施する研究については、関連研究の資料収集を進め、早急に課題の洗い出しを行うとともに、予備的計算・準備に着手する。研究成果を作成し、国内外の学会・研究会で報告を行う。関連する研究分野の専門家からの評価・アドバイスを受け、必要な修正を行う。最終的に、海外学術誌に研究成果を投稿する。
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