2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03450
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
倉田 洋 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (60411245)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サービス産業 / 企業立地 / 市場規模 / 垂直的産業 / 過剰・過少参入 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.長期的な企業間関係がある場合の企業立地と市場構造 非貿易財産業において企業が長期にわたって供給を行うような状況において、市場規模が異なる2地域への立地と市場構造に関する分析を行った。寡占の状況で、企業が市場規模の異なる地域への立地を決定し、それぞれの地域で競争が行われるか、暗黙の共謀が行われるか、そして市場規模格差の拡大はそれらの結果にどのような影響を及ぼすかについて検討した。企業の持つ割引率がある一定の水準を上回れば共謀が維持されること、市場規模が小さいほど共謀が維持されやすく、市場規模が大きい地域で競争、小さい地域で共謀が起こることが均衡となりうることが分かった。また、市場規模格差の拡大により、そのような結果が起こりやすくなることが明らかになった。本研究成果は国際学会で報告され、現在海外査読誌への投稿に向けて論文を改訂中である。
2. 垂直的産業における企業立地と経済厚生 中間財・最終財産業を持つ垂直的産業のもとで、両産業が寡占の状態である継起的寡占モデルのもとで、両産業の参入企業数が経済厚生の観点から望ましいかについて検討した。先行研究では考慮されていなかった中間財市場・最終財市場両方の参入を考え、両市場で参入企業数が過剰・過少となる条件の導出を試みた。分析の結果、中間財・最終財市場における企業数の差、および需要関数の曲率によって、各市場で参入が過剰・過少ともなりうることが分かった。とりわけ、中間財・最終財とも参入が過少となる可能性が示されたことが本研究で特筆すべき成果である。本研究成果は、現在国内外の学会・研究会での報告および海外査読誌への投稿に向けて論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で示した(1)サービスの差別化がある場合の企業立地と政策,(2)垂直的サービス産業における企業立地と政策,(3)長期的なサービスが行われる場合の企業立地と政策のうち、2016年度は主にテーマ(2), (3)に関連する研究を行った。研究成果の1つは国際学会で報告されており、前年度に作成した研究成果も含め、3つのテーマすべてについて、研究成果の発表に向けた準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度までに作成した研究成果の海外学術誌への掲載を目指すとともに、各テーマについて、さらに研究を進める。論文を作成し、国内外の学会・研究会で報告を行う。関連する研究分野の専門家からの評価・アドバイスを受け、必要な修正を行い、海外学術誌に研究成果を投稿する。
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