2017 Fiscal Year Research-status Report
暴力・詐取・競争と経済発展:政治経済学的理論分析とインドにおける実証研究
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15K03452
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 篤史 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (00286923)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 暴力 / 価値移転 / 経済発展 / 公共政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人々の間で価値の移転が起きる際の様式の違いによって人々が価値創造的な行為を選択するインセンティブが異なり、経済全体のパフォーマンスに影響が現れることを明らかにすることである。 これまでの理論研究から、資源の分布の不平等によってさまざまな社会集団の間で政治的影響力が異なり、その結果人々が暴力や詐取などによる非自発的な価値移転を強いられる程度が社会集団間で異なることが予測される。例えば、政治的に不利な立場にある社会集団の成員は警察などによる財産や身体の保護が相対的に弱くなり、そのため暴力的奪取や詐取の標的になりやすい資産への投資が控えられる傾向が生まれ、経済パフォーマンスが低迷すると考えられる。 このような考え方に基づき、昨年度は暴力紛争の経済的効果をインドの州レベルで推計した論文をインドで出版される本に寄稿した。複数の著者が寄稿するため、いつ出版されるか現時点では不明だが、今年度中に出版されると期待している。 また、発展途上国の農村部では地主層が小作人や農業労働者に対して暴力の行使の可能性も含めて優位な立場にあることが多く、地主層の意向が地方政府の政策の決定や執行に大きな影響力を持つと考えられる。このような考えに基づき、農村部の地主層の政治的影響力と都市部の産業資本家の政治的影響力を間接的にとらえると考えられる変数が、経済パフォーマンスに影響を与える公共政策の決定と執行に与える論文を執筆し、出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論の精緻化が進み、インドのデータを用いた実証研究を行っている。今後多方面から研究テーマに関わる仮説の検証を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
インドのデータを用いた実証研究を継続して行っていき、研究成果を論文にまとめて国際的な学術雑誌に投稿していく予定である。
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Causes of Carryover |
前回の報告書にも書いたが、一昨年度に現在の大学に移ったのちわずか半年で研究科の執行部に入るなどして新しい職場で多忙な日々が続いたため予定通りインドに計画通り出張できなかった。その影響で一昨年度に研究費を使用しなかった分の影響が続いている。
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Research Products
(3 results)