2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03455
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
大野 正智 成蹊大学, 経済学部, 教授 (60302311)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際マクロ経済 / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
IMF国際収支マニュアルの改定後でみる国際収支発展段階説についての研究成果を、『成蹊大学経済学部論集』7月号に掲載発表した。そして、これに基づき、9月に武蔵野地域五大学共同教養講座で約100名参加の会場で講演を行った。主な内容は、マクロデータや国際競争力データによると、日本が未成熟債権国からベルギーやスイスの様な成熟債権国に移行しつつあるという判断に至るというものである。 8月には国際学会であるEconometric Societyで、デフレ問題と国際的要因についての論文を発表した。近年、デフレーションは先進諸国に共通した経済停滞問題として捉えられ、金融緩和政策では非伝統的な手段が採用されている。しかし、この政策が、経済発展に寄与するのかは専門家でも意見の分かれるところである。今回の研究では、金融政策、為替レート、そして、実体経済との相互関係を実証的に分析した。国際学会発表後、国際専門誌に論文を投稿しその後改訂要求の返答を受けたので、論文の改訂を行っている。主な内容として、金融緩和政策の実施前に為替レート変動が先行することや、緩和政策の実体経済への影響が一時的なものに限定されるという見解を提示している。 11月には、慶應義塾大学経済研究所で、大学教員・研究者ならびに大学院生を対象に、国際収支と対外資産のデータ分析ならびにデフレ問題と国際的要因についての研究成果を報告した。さらに、12月には早稲田大学大学院経済学研究科で、本研究で扱っている構造変化テストの実行に必要なコンピュータプログラムを作成するためのアルゴリズムを紹介した。 総じて、この一年間は各所で発表の場を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文掲載ならびに国際学会での発表、さらに、教養講座、研究所、大学院で研究報告を行うことができた。また、国際学会で発表した論文は国際専門誌に投稿し改訂を要求され受理を目指し論文の改訂作業が続いている。 国際収支基準が改訂されたが、新基準で報告している国と、旧基準で報告している国があり、全般的なデータ分析を行うには、もう少し後の方が望ましいと判断した。そこで、今年度は、国際収支発展段階説のデータ概観の研究の後は、日本のマクロ経済を先進国の典型例とするデフレと経済成長に関する分析を中心的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
改訂要求を受けた論文については、専門誌への掲載受理へ向けた改訂作業を完了したい。また、国際収支データについて、新基準採用国と、旧基準採用国が混在していながらも分析可能がデータを定め、研究を行っていきたい。また、データ入手が困難で分析が難しい場合の代用手段となるコンピュータシミュレーションも適宜進めていきたい。 これらの研究活動のため、関連図書の購入費、学会出張の旅費、コンピュータ関連用品、などの支出が見込まれる。
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Causes of Carryover |
国際学会参加で多数の研究報告を聴講することができたため、本学に研究者を招待して講演してもらう必要がなく、謝金や交通費等への出費が抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、学会出張旅費や図書費にあてる計画である。
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